モーレツ終戦工作 ミニスカ宇宙海賊12 [読書・SF]
評価:★★★☆
女子高生宇宙海賊・加藤茉莉香の活躍を描くスペース・オペラ第12作。
ASAHI NOVELSから来たメールマガジンの情報によると、
今作で "第一期・完" とのこと。
あくまで "完結" ではないらしいのだが、
次回作までは間が空きそうではある。
最後の戦いにふさわしく(←いや、終わりじゃないんだって)、
茉莉香たちの最大級の活躍が描かれる。
前々巻で120年前の世界へタイムスリップし、
独立戦争の末期へと飛び出した弁天丸とオデットII世。
史実では、植民星軍と宗主星軍の最終決戦の直前に
銀河帝国艦隊の介入によって戦争は終結するはずであった。
しかし、茉莉香たちのいる世界では、帝国軍には全く介入の気配がない。
銀河帝国にとっては、辺境星区の未接触文明(茉莉香たちの属する星系)が
勝手にやってる内戦に関わっても得することは何もないわけだからね。
しかしこのままでは独立戦争が終わらず、多くの被害が発生してしまう。
しかも、歴史が変わってしまうということは、
茉莉香たちが本来の未来へ帰れなくなることを意味する。
かくして、最終決戦を1週間後に控え、茉莉香たちは
なんとしても銀河帝国の大艦隊(少なくとも1000隻単位)を
決戦宙域まで引っ張り出さなければならない。
そのために茉莉香がとった方法とは・・・
P.112の茉莉香の台詞は、本シリーズ中最高にカッコよく、
まさに掉尾を飾るにふさわしい(←だから終わりじゃないんだってば)。
本書の後半は、海賊船と非武装の光子帆船、わずか2隻の戦力で、
銀河帝国と互角に渡り合う茉莉香たちが描かれる。
120年の技術的アドバンテージがあるとは言え、
圧倒的戦力差がある相手に一歩も引かず、堂々の戦いっぷりを見せる。
茉莉香は度胸もあるし頭も回るし人望もある。
将来は "伝説の大海賊" になれるね。
毎回思うんだけど、作者の描写の上手さは半端ではない。
宇宙船が飛び交う戦闘シーンも、ドンパチだけじゃない。
レーザービームならぬ情報をぶつけ合う電子戦も
緻密なディテールで描き出し、読み応え充分。
腹に一物も二物も抱えた権謀術数シーンも、これまた達者に描きだす。
作者は私とあまり変わらない年齢のはずなのに、
描かれる女子高生がみな可愛い。
しかもこれがまた賢い子ばっかりなんだよなあ。
このシリーズ、オツムの弱い女性が出てこないのも魅力の一つだと思う。
巻末の「あとがき」に、『妖精作戦』でデビューしてから30年、
ってあったけど、もうそんなに経つんだね。
30年選手のベテランの妙技が堪能できるシリーズだ。
この作品、TVアニメ化されてる(2クールで26本)し、
映画化もされてる(今年の2月に公開されたんだったかな)。
実はどちらもまだ見てなくて、どうしようかなあって思ってたんだが、
ちょっと見てみようかなあ・・・って思い始めてる。
だって、これからしばらく茉莉香たちに逢えないかも知れないからねぇ。
makimakiさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。
by mojo (2014-08-24 00:51)
げいなうさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。
by mojo (2014-08-24 00:51)