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羊の秘 [読書・ミステリ]

羊の秘 (祥伝社文庫)

羊の秘 (祥伝社文庫)

  • 作者: 霞 流一
  • 出版社/メーカー: 祥伝社
  • 発売日: 2010/06/11
  • メディア: 文庫



評価:★★☆

自分が見た夢の内容をお互いに "プレゼン" し合うという
風変わりなサークル、「夢視の玉」(ゆめみのたま)。

そのメンバーの一人が土蔵の中で殺される。
身体を白い紙で覆われ、口の中には矢印形の金属を差し込まれて。

成り行きで事件に関わることになった
アンティークショップのマスター・邦彦は、
友人の志恵・世太の姉弟とともに関係者を訪ねるうちに
メンバーの女性が事件の直前に自殺していたことを知る。

さらにメンバーが密室状態で殺されていき、
それぞれの死体に施された数々の "装飾" は、
ことごとく「羊」を暗示するアイテムだったことが判明する・・・


作者はいままで動物をモチーフにした "バカミス" を多数発表してきた。
"バカミス" とは、(私解釈では) "脱力系ユーモア・ミステリー" のこと。
狸に始まり狐、馬、鹿。哺乳類以外では蟹・蛸・鰐とかも動員して。
この作品は題名で分かるように「羊」。
なので、過去作のようなお笑い系を想像して読んだんだが、
今作はいささか雰囲気が異なる。

エキセントリックなキャラは多いし、会話もコメディ調なんだが、
物語が進むにつれて明らかになってくる事件の背景はかなり凄惨で、
ホラーっぽい呪術的要素まで出てくると、もはや笑うに笑えない・・・

ミステリとしての土台はけっこうしっかりしてる。
終盤で犯人を指摘するロジックも良く出来てるし、
島田荘司ばりの物理トリックが炸裂する密室の謎解きも面白いんだけど、
面白すぎて「いくらなんでもそれはないだろう」状態なのが玉にキズ。

巻末の解説によると、作者はいままでのユーモア路線から
新境地開拓を目指して作風を変えつつあるらしい。
この作品はその模索のひとつにあたるのかも知れない。

ただ、私には(この作品に限って、だけど)
それがうまくいっているとはちょっと思えなかったかなぁ。


そんなこんなで、普段なら星3つくらいの作品なんだけど
ちょっと減点して2つ半。


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mojo

makimakiさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。
by mojo (2014-01-26 17:48) 

mojo

ゆきママさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。
by mojo (2014-01-27 21:16) 

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