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朝日のようにさわやかに [読書・その他]

朝日のようにさわやかに (新潮文庫)

朝日のようにさわやかに (新潮文庫)

  • 作者: 恩田 陸
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2010/05/28
  • メディア: 文庫



評価:★★★

ノン・シリーズものだけ14作収録した短編集。

とはいっても、ここから他の作品に育っていったり、
長編の前日譚だったりするものもあるので、
純粋なノン・シリーズとは言えないものも入ってる。

内容も、ミステリあり、ホラーあり、児童文学あり、
SFあり、ショートショートあり、奇妙な味あり。
まとまりが無いと言えば無いが、そのぶんバラエティに富んでる。


面白かったベスト3を挙げると、

「水晶の夜、翡翠の朝」
 「麦の海に沈む果実」にも登場した、
 北海道の(たぶん)釧路湿原の中に建つ全寮制の学校を舞台に、
 童謡の歌詞のとおりに事件が起こっていくというサスペンス・ミステリ。
 探偵役を務めたヨハン君は、このあと独り立ちして
 他の作品の主役になってるらしい。そっちも読んでみたいと思う。

「あなたと夜と音楽と」
 ラジオ放送中のパーソナリティ二人の、会話のみで進行する本格ミステリ。
  実は既読だったんだけど、今回再読してみてやっぱり良く出来てると思った。
 この作品は、アガサ・クリスティの「ABC殺人事件」をモチーフに、
 複数の作家が競作したアンソロジーのために書かれたもの。
 そのタイトルもズバリ『「ABC」殺人事件』(講談社文庫)だった。
 参加者は、恩田陸以外には、有栖川有栖、加納朋子、貫井徳郎、法月綸太郎。
  加納朋子と貫井徳郎は夫婦で参加してたわけで、
 お互いやりにくかったろうなぁ。特にダンナは。

「卒業」
  私は基本的にホラーはNGな人間なんだが、
 「六番目の小夜子」はとても面白く読めて、大好きなんだ。
 恩田陸の書くホラーなら例外的に大丈夫らしい。
 この「卒業」も、15歳の少女たち5人が、次々に
 スプラッターな形で殺されていくという凄まじい話。
  それも、文庫でわずか15ページの中で。
 長い作品の一部を切り取ったみたいな作りなんだけど、
 この前後の話はどうなっているのか知りたいなあ、って思ったよ。


あと2作ほどコメントを。
「冷凍みかん」はSF。70年代にはこんな作品がたくさんあったような気がする。
「楽園を追われて」はSFでもミステリでもないけど、
 私みたいな年代にとっては切ないなぁ。


読み終わって思ったけど、やっぱり恩田陸は長編の方がいいかなあ。


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