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「分岐点」 [読書・ミステリ]

分岐点 (双葉文庫 こ 17-1)

分岐点 (双葉文庫 こ 17-1)

  • 作者: 古処 誠二
  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 2007/10
  • メディア: 文庫

評価:★★

昭和20年、夏。

勤労動員された中学生たちが、本土決戦に備えて
陣地の構築にあたっている。
毎日のように鳴る空襲警報、
降り注ぐ焼夷弾、銃弾。
米軍上陸の恐怖。

そんな極限状態の中で
一人の少年が軍の下士官を殺した。

物語は、将来の見えない中学生たちを中心に
終戦直前の人々の様子を描きながら、
「ホワイダニット」「なぜ殺したのか」の
謎を保ったまま、進行する。

作者はミステリ作家としてデビューしたが、
ここ何作か、太平洋戦争を題材にして長編を書いている。
たしかにリアルな描写は戦争小説としてよくできていると思うが、
その分、ミステリ的要素が薄まっているような気がする。

私としては戦時中のような特殊な状況下を描いても、
あくまでミステリをメインに据えて書いてほしいのだけれど
この人は、戦争そのものを書くことに意を注いでいるようだ。
そのこと自体は何ら非難されることではないし、
意義のあることだとも思うけど、
私のような単純なミステリ馬鹿にはちょっと物足りないなあ。
(あくまでミステリとして、の話)

この作品も、「戦時下だからこそ生じる殺害動機」
を扱っているのだけれど、
具体的に何が原因だったのかは
どうも私にはよくわからなかった。
(ただ単に私の頭が悪いだけなのかもしれないが)


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