ネメシスVI [読書・ミステリ]
評価:★★★
TVドラマ「ネメシス」をベースにした小説シリーズ、第6巻。
横浜にある探偵事務所ネメシスを舞台に、社長の栗田一秋、新人探偵の風間尚希、そして助手の美神アンナの3人が事件に立ち向かう。
探偵役を務めるのは、天才的なひらめきをもつアンナ。
ポンコツな風間を陰からフォローして事件解決へ導く役回り。
「第一話 ショーマストゴーオン!」
若手女優・羽村美幸のもとに脅迫状が届く。近々行われる舞台劇から降板しろという。しかし彼女は出演を強行する。
劇の内容はミステリ。オーディションのために孤島に集められた6人の俳優女優が、次々に殺されていくというものだった。
しかも出演するメンバーたちの間には、過去に惚れたり別れたりとの恋愛模様があったり、過去の共演作での遺恨・確執があったりと、曰くありげな人間関係の者ばかり。
調査のために「俳優の卵」と称して稽古場に潜り込んだ尚希とアンナだったが、リハーサル中にセットの一部が崩壊、端役の新人俳優が負傷する。
そこで急遽、尚希はその代役として本番の舞台に立つことになってしまう。
そして迎えた初日。尚希は犯行シーンで使われる贋物のナイフがホンモノにすり替わっていたことを知るが、すでに舞台は始まっていた。
出演者たちは、急遽アドリブに切り替えて劇を続行していくことになってしまうが、その中で尚希は必死に真相を推理しようとする・・・
まあ実際にこんなことが起こったら、その時点で劇は中止になるのだろうけど、それをあえて即興でつないでいくという展開は緊張感が出てきて、けっこう楽しく読ませる。
「第二話 カジノ・イリーガル」
ドラマ版第七話がベース。
以前に扱ったフェイクニュース事件を追っていたネメシスは、IT企業の役員で烏丸司(からすま・つかさ)という男に辿り着く。
彼についての情報は乏しく、違法カジノに通っていることくらい。
尚希とアンナは奇術師・緋邑晶(ひむら・あきら)の助けを受けて、カジノに入りこむことに成功する。目標は烏丸の持つスマホからデータをコピーすることだが・・・
作中、アンナと烏丸がスマホのパスワードを当てる賭けをするのだけど、これ何となく答えの見当がついたよ。ちょっとうれしいね(笑)。
これ以外にも、烏丸のスマホからデータを奪取する方法や、烏丸の護衛とアンナが武術対決するシーンなど、読みどころはいくつもある。
さて、この「ネメシス」シリーズだけど、これまでの1~6巻は今年の3~6月くらいにかけて集中刊行された。TVドラマの放映に合わせたのだろうけど、それ以降は止まっている。
ストーリー的にも、アンナの過去や父親に関するメインの謎はまだ解明されていない。
カバー裏には「(以下続刊予定)」とあるのだけど、そろそろ6か月経つ。 このシリーズ、売れてないのかな?
wikiでも見れば結末は分かるのだろうけど、ここまできたらちゃんと小説で読みたいよねぇ・・・
コメント 0