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聖女の塔 建築探偵桜井京介の事件簿 [読書・ミステリ]

聖女の塔 建築探偵桜井京介の事件簿 (講談社文庫)

聖女の塔 建築探偵桜井京介の事件簿 (講談社文庫)

  • 作者: 篠田 真由美
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2013/08/09
  • メディア: 文庫



評価:★★★

長編全15作で完結予定の建築探偵シリーズ。
ノベルス版ではすでに最終巻まで刊行済みなんだが、
文庫版では、第12作の本書が最新刊。


2002年、春。
一年間の休学から復学した "蒼" こと薬師寺香澄くん。

大学に登校した蒼は、知人の川島実樹から相談を持ちかけられる。
実樹の高校時代からの友人・海老沢愛子と及川カンナが、
カルトと思われる宗教団体『白い天使の協会』に
相次いで入信してしまったという。

蒼は実樹と二人で教団施設を訪問するが、
愛子とカンナの真意を確認することはできなかった。
実樹は、内部から探るしか手段はないと考え、
教団への偽装入信を決意するが・・・

一方、桜井京介のもとへ武智と名乗る私立探偵が現れ、
長崎県の無人島で10体を超す女性の焼死体が
発見された事件を語る。
地元の警察は、新興宗教の集団自殺として処理していたが、
武智は巧妙な殺人事件ではないかとの疑いを抱いていた。
京介は、武智とともに現地調査へと赴くことになる・・・


ここ何作か、いわゆる "普通の" ミステリに収まらない話が
増えているように思うこの建築探偵シリーズだが、
残り3作(本書を入れても4作)になってきて、
ますますその傾向が強くなってきたように思う。

物語の中心が、京介自身の過去や出自にシフトしてきて、
京介に対して強い悪意を持って対する人物も現れる。

  特に、本書のラストで明らかになる意外な黒幕(?)的キャラが
  残り3作で重要な役回り(要するに京介の "敵" )となるのだろう。

ストーリーも、カルト教団絡みのサスペンスもの、
という雰囲気になり、京介や蒼も命がけの危機に放り込まれる。

  読んでいて、京介と蒼が "明智小五郎" と "小林少年" に
  重なって見えた瞬間があったんだが、錯覚かなあ。
  ・・・なんて、例えが古すぎて分からない人も多そうだが。

これはこれで面白いとは思うんだけど
私はやっぱり "建築探偵" が読みたい。

ユニークな、あるいは建築史的に貴重な建築物がでてきて、
それにまつわる "普通の" ミステリが起こり、それを京介が解明する、
オードックスなミステリ・シリーズだった初期の頃。
私はかなりワクワクして読んでたんだ。

まあ残り3作は仕方がないとして、
またいつか "建築物" メインのミステリに
京介が復帰してくれることを期待している。


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mojo

makimakiさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。
by mojo (2014-04-04 22:01) 

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