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新・新本格もどき [読書・ミステリ]

新・新本格もどき (光文社文庫)

新・新本格もどき (光文社文庫)

  • 作者: 霧舎 巧
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2013/04/11
  • メディア: 文庫
評価:★★★

前作「新本格もどき」の文庫版が出たのは2010年。
読んだのもたぶんその頃か、ちょっと後。
もう10年近く経っているので、内容をほとんど忘れてしまっていたよ。

ネットでちょっと前作の内容を検索してみたんだが、
正直あんまり覚えてない。大丈夫か私のアタマ。

主人公は、記憶喪失に陥った探偵・吉田さん。
前作の最後でめでたく記憶を取り戻したは良いが、その代わりに
記憶喪失中に関わった仲間たちとの記憶を失ってしまう。

吉田さんに思いを寄せる看護師・上岡エリは、
なんとか自分のことを思い出してもらうために
毎回、自分が ”名探偵” になりきり(もちろんコスプレもして)、
吉田さんを無理矢理巻き込んで、次々に起こる怪事件に飛び込んでいく。

彼女に協力するのは、ミステリマニアのてんぷら屋の大将とか、
コスプレマニアのお姉さんとか個性的なメンバー。

彼らが出くわす事件は、みなどこかで聞いたような名前ばかり(笑)。

「人狼病の恐怖」
 元ネタは「人狼城の恐怖」(二階堂黎人)

「すべてがXになる」
 元ネタは「すべてがFになる」(森博嗣)

「覆面作家は二人もいらない」
 元ネタは「覆面作家は二人いる」(北村薫)

「万力密室!」
 元ネタは「念力密室!」(西澤保彦)

「殺人史劇の13人」
 元ネタは「殺人喜劇の13人」(芦辺拓)

「夏と冬の迷走曲(どなた)」
 元ネタは「夏と冬の奏鳴曲(ソナタ)」(麻耶雄嵩)

「《おかずの扉》研究会」
 元ネタは「《あかずの扉》研究会」(霧舎巧)

基本的には一話完結なのだけど、それぞれの事件の裏には
謎のカルト教団が暗躍していて、最終話に至ると全体が
(ゆったりとだが)ひとつながりの話に収まるようにできている。

それぞれの事件も、題名こそ有名作品のパロディだが
内容はもちろん、作者オリジナルのトリックとストーリー。

ただ、登場する名探偵やレギュラーキャラの名前のもじりなど、
元ネタを知っていた方が楽しめるのは間違いない。
とはいっても、元ネタの作品を全部読んでるのは
かなりのミステリ好きな人だろう。
そういう意味では読者を選ぶ作品だと思う。

 私はどうかと考えてみたら『念力密室!』以外は全部読んでた。
 おお、けっこう読んでるね私。
 西澤保彦の作品は、初期のものは読んでたんだけど
 なんとなく波長が合わないみたいで、途中から離れてしまった。

本作以降、続巻は出ていないみたいなので、これで完結なのかな。


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