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空母いぶき [映画]


5月の終わり頃、かみさんと映画を観に行った。

この日は2本見ることにしていて、内訳は
私が観たい映画とかみさんが観たい映画を1本ずつ、ということで。

かみさんが挙げたのが「コンフィデンスマンJP」、
そして私が挙げたのがこの映画。
シネコンの時間割の都合で、こちらを先に観ることになった。


はじめに断っておくが、私はかわぐちかいじ氏の良い読者とはいえない。
「沈黙の艦隊」はいちおう全編読み通したが、
それ以外の作品は全く読んでない。
今回の映画も、原作となっている同名漫画は未読である。

とは言っても、TVCMや予告編なんかを見ていて
それなりの情報は入ってきていたし
ネットニュースとかでは出演俳優の言動が云々とか
いろいろ喧しく報じられていた。
しかしながら、観ないことには評価もできないよねぇ・・・

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結論から言うと、「思ったより面白かった」というのが感想。
実際、2時間強の上映時間中、退屈することもなく
それなりの緊張感と興奮を覚えながら最後まで見終えられた。

ほとんど炎上していた総理役の俳優さんの演技も、
そんなに目くじら立てるほどのものではなかったと思うし。

まあ、ツッコミどころもあちこちにあったけど
エンタメ作品ならそれはある程度は仕方がないかな。

 さすがに「いてまえ!」はやり過ぎだとは思ったが(笑)。


とはいうものの、ネット等での評価をみたらけっこう散々である。
その原因はやはり原作との相違にあるようだ。

日本領である島が外国の軍事勢力に占領され、
多数の日本人が捕らえられる。
自衛隊が擁する初の空母「いぶき」を含む第5護衛隊群が
人質解放と領土奪還に向かう・・・というおおまかな設定は同じだが、
中身のストーリー自体は映画オリジナルだそうな。

原作を読んでいない人間がどうこう言うのはおこがましいが
原作で「中国軍」と明記されている ”敵” が
映画では「東亜連邦」という架空の国家になっている一点だけでも
作品の根幹に関わる変更点といえるだろう。
これによってなかりのリアリティを失ったのは否めない。

スクリーンに映った地図を見ると「東亜連邦」なる国は
フィリピンの東北にある小さな島国であるらしいことが分かる。
そんな小国が、最新型の空母や戦闘機、潜水艦を擁して
第5護衛隊群を圧倒する物量と戦力を繰り出してくる。

 まあ、歴史上、大国が小国に武器弾薬を供給して
 代理戦争をさせたなんて例は枚挙にいとまがないんだが
 そこまでの描写にも踏み込まないし。


ミリタリー描写を売りにしたアクション映画としては面白いと
私は思うんだけど、おそらく
原作が好きな人からしたら改変が多すぎて
ほとんど別物に感じられるのかもしれない。
それで怒り出す人が多いのだろうなあ・・・と推測。


あと、2つほど書いて終わりにしよう。

1つめ。

映画内では、史上初の防衛出動を発令することに逡巡する
総理大臣の姿が描かれる。
周囲の閣僚は「決断を!」と迫るのだが、
なかなかそこまで吹っ切れない。

「自衛隊の武力行使に及び腰になる総理」というのは
この手の作品ではおなじみだし、
近年では「シン・ゴジラ」でもあったような気がする。

観ている方からするとじれったい気もするが
もし、本当に ”有事” が起こった際にはどうなるか。
ちょっと考えてみてしまった。

即断即決がいいのか熟慮がいいのか。
私としてはやっぱり後者であってほしいと思う。
総理たるもの、軽々しく戦争を始めてほしくはないよねえ。

もちろん「時機を逸する」というのはあってはならないが・・・
”そのとき” には、決断の時期を間違えない人が
日本のトップにいてほしいものだと思う。

 まあ、そんな ”有事” に陥る羽目にならないように
 算段していくのが為政者の仕事ではあるのだけどね。


2つめ。

主演の「いぶき」艦長・秋津一佐を演じたのは西島秀俊。
「力には力をもって思い知らせる」という信念を持つキャラで
「何があっても戦争を阻止する覚悟」の副長(演:佐々木蔵之介)と
しばしば対立するのだが・・・
西島さん、あまり軍人ぽく見えないんだよねえ。

CMなんか見ている限りでは、 ”マイホームパパ” や
”理解のある上司” みたいなイメージがあって・・・
あえてギャップを狙ってキャスティングしたのかもしれないけど。

秋津もラストまで行くと、人間的な面も見せるので
全くのミスキャストでもないとは思うんだけど
私には違和感のほうが大きかったかなぁ。


いつか原作を読む機会があったら、
改めて追記の文章を書くかもしれません。

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