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英国空中学園譚 ソフロニア嬢、倫敦で恋に陥落する [読書・ファンタジー]

ソフロニア嬢、倫敦で恋に陥落する (英国空中学園譚)

ソフロニア嬢、倫敦で恋に陥落する (英国空中学園譚)

  • 作者: ゲイル キャリガー
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2017/02/23
  • メディア: 文庫

評価:★★★☆

人類と、吸血鬼や人狼などの "異界族" が共存する
19世紀のパラレルワールド英国を舞台にした
スチームパンクなファンタジー、最終巻。

お転婆の度が過ぎて、「花嫁学校」(フィニシング・スクール)へ
入れられてしまったソフロニア・テミニック嬢。
しかし「花嫁学校」とは世を忍ぶ仮の姿、
その実態は礼儀作法のみならず
あらゆる諜報技術を仕込まれるスパイ養成学校だった・・・

前作から1年後、ソフロニアたちは最上級生となった。
本作では、シリーズ最後にして最大の戦いが描かれる。


クリスマスが近づき、兄弟校である男子校で開かれる舞踏会に
参加することになったソフロニアたち。

生徒たちが浮き立つ中、ソフロニアは
学園に空賊が潜入するのを目撃する。

賊は撃退したものの、その背後にいるのは秘密結社・"ピクルマン"。
彼らの目的は異界族の排除から、
新型水晶バルブを用いて英国中のメカを支配することへ移り、
そして今回はさらにスケールアップしているらしい。

後半では、巨大飛行船でもある学園がピクルマンと空賊に占拠され、
陰謀成就のためにロンドンを目指して移動を開始する。

ソフロニア嬢はそれを阻止すべく、単身で学園に潜入する。
しかし何と言っても多勢に無勢。
いつしか満身創痍になりながらも、学園奪回のために戦い続ける。

 突然『ダイ・ハード』が始まるんでビックリしてしまったよ。
 そんな中でも、顔についた傷跡を気にするあたり、
 やっぱり年頃の女の子だねえ。

まさに『英国空中学園譚・激闘篇』といった趣き。

そんな彼女にも、援軍が。
てっきりお飾りの学長かと思われていた
マドモアゼル・ジェラルディンの意外な活躍。
ちょっと頭のネジがゆるんでしまった吸血鬼、
ブレイスウォーブ教授も "本来の姿" で(笑)空賊たちに襲いかかる。

そして何と言っても、
今回いちばん美味しいところを持っていくのは
ソフロニアたちにとってはかつての意地悪上級生だったモニク。

今では学園を去ってウエストミンスター吸血鬼群に仕えているが
スパイとしての力量も確かで、本作終盤ではソフロニアと共に
"ピクルマン" の陰謀阻止のために共闘する。

 『ルパン三世・カリオストロの城』の峰不二子を連想したよ。

ラストでは、"ピクルマン" の組織は壊滅、
ソフロニアと同級生たちは目出度く "フィニッシュ"(卒業)を迎える。

ソープとの関係も決着し、いよいよソフロニア嬢は
プロのスパイとしての一歩を踏み出していく。

最終巻にふさわしく、画に描いたような「大団円」だ。


シリーズはこれで完結となるが、
作者は同一世界を舞台にした作品を書き続けているので
いつか、他のシリーズにソフロニアたちが顔を出すこともあるだろう。

 解説によると、既に「アレクシア女史」シリーズで
 ソフロニアらしき人物への言及があるらしいんだけど・・・

このシリーズ、読み始めたのが2月だから
わずか3ヶ月ほどのつきあいなんだけど、
彼女たちと別れるのは意外なほど淋しく感じる。

ソフロニア嬢たちの "その後" が、いつか読めることを期待してます。

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