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柳生十兵衛秘剣考 [読書・ミステリ]

柳生十兵衛秘剣考 (創元推理文庫)

柳生十兵衛秘剣考 (創元推理文庫)

  • 作者: 高井 忍
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2011/02/24
  • メディア: 文庫



評価:★★★☆

「柳生十兵衛」と聞いてまず何を思い浮かべるだろう。
私の場合は「柳生一族の陰謀」だったり「千葉真一」だったりする。
(「ハレンチ学園」のヒロインが頭の片隅をよぎったのはナイショだ)

そんでもって、wikiで「柳生一族の陰謀」の項目をはじめ
関連項目をだらだらと小一時間読みふけってしまったという
ダメ人間が約1名ここにいます。

閑話休題。

歴史上の人物を探偵役にした作品は多いけど、
柳生十兵衛をその任に宛てるとは、かなり意外な人選。
だって剣豪って脳筋なイメージがあるし(←私の偏見です)。

本書に登場する十兵衛は、剣の達人であるのはもちろん、
オツムの方も名探偵の免許皆伝のようだ。

ワトソン役を務めるのは男装の武者修行者・毛利玄達。
彼女が諸国を巡る内に巻き込まれる事件の謎を
十兵衛が鮮やかに解きほぐす、という趣向。

表向きは十兵衛を嫌っているように振る舞う玄達だが
端から見てると "友人以上恋人未満"、ケンカするほど仲がいい。
この二人の掛け合いもまた楽しい。


「兵法無手勝流」
 渡し船の上で、周囲の乗客に迷惑をかける牢人を
 体よくあしらったのは、"卜伝" と名乗る男だった。
 十兵衛が推理した、彼の正体とは。

「深甚流 "水鏡"」
 加賀の地で、古老から深甚流開祖・草深甚四郎について聞く二人。
 深甚流奥義・"水鏡" は、盥に張った水に向かって剣を振るい、
 それによって遠く離れた者を討ち果たすことが出来るという、
 その名の通り、乱暴者の行者が河原で殺された。
 周囲には、全く人の足跡がなかったという・・・
 十兵衛の推理で、トリックはもちろん意外な背景までも明らかになる。
 ミステリとしては本書中で最高の切れ味だ。

「真新陰流 "八寸ののべがね"」
 明国帰りの武芸者・源信斎が編み出した秘剣・"八寸ののべがね"。
 それを受け継いだ源信斎の弟子・伝心斎と宮本武蔵が対決した。
 結果、見事 "八寸ののべがね" を打ち破った武蔵だが、
 秘剣の正体は未だ不明。十兵衛が見切ったその "仕掛け" とは。

「新陰流 "月影"」
 二条左大臣の家臣・平太夫を含め、12人の男を惨殺したのは、
 なんと柳生十兵衛だった。
 平太夫の娘・千織は毛利玄達の手助けを受け、
 十兵衛への仇討ちを決意するのだが・・・
 シリーズものなら、一度は使われるネタかなぁ。
 私は某有名作家の某有名短編を連想したけど。


実は続巻「柳生十兵衛秘剣考 水月之抄」も読み終わってるのだけど
感想をupできるのは年明けだろうなあ・・・


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