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空飛ぶモルグ街の研究 本格短編ベスト・セレクション [読書・ミステリ]

空飛ぶモルグ街の研究 本格短編ベスト・セレクション (講談社文庫)

空飛ぶモルグ街の研究 本格短編ベスト・セレクション (講談社文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2013/01/16
  • メディア: 文庫



評価:★★☆

買ったまま3年も放置していたら、
何と本書に収録された10作のうち、何と5作は
単独の短編集で読んでしまっていたよ・・・
なんだかちょっと哀しい。


「しらみつぶしの時計」(法月綸太郎)
 同題の短編集で既読。
 一分ずつずれた時計1440個の中から、
 正しい時刻を示している1個を見つけ出す話。
 ミステリと言うよりはパズルだが、論理の冴えは見事。

「路上に放置されたパン屑の研究」(小林泰三)
 これも短編集「大きな森の小さな密室」で既読。
 何日かおきに路上に置かれるパン屑は、
 誰が何のためにまいているのか?
 面白いけど、これもミステリと言うよりはコント。

「加速度円舞曲(ワルツ)」(麻耶雄嵩)
 趣味で "探偵" をしているという、貴族ふうの雰囲気を持つ男。
 富士山の見える山荘で起こった殺人事件を解決するんだけど
 この人、"探偵" してないよねぇ・・・

「ロビンソン」(柳広司)
 著者の出世作(?)「ジョーカー・ゲーム」シリーズの一編。
 第二次大戦直前のロンドン。
 スパイ容疑で英国の諜報機関に捕らえられた主人公・伊沢が
 いかにして逃げ出すことに成功したか、という話。
 このシリーズは初めて読んだ。
 もともとスパイ・サスペンスってあまり好きじゃないんだけど、
 この作品みたいにミステリ色が強めのシリーズだったら、
 楽しく読めそうな気がする。とりあえず1冊読んでみようかな。

「空飛ぶ絨毯」(沢村浩輔)
 これも短編集「夜の床屋」で既読。
 六畳の洋間から一晩のうちに絨毯が消えるという話。
 家具もベッドもあって、そこには人が寝ていたというのに。
 幻想的な出だしから、リアルな解決に至る。これは良作。

「チェスター街の日」(柄刀一)
 莫大な遺産を相続した、車椅子の日本人青年が巻き込まれた事件。
 名探偵・南美希風が暴くのは意外極まる真相。
 とはいうものの、主人公が○○○○、○○が○○○○ってのは
 ちょいと無理がありそうな気もするが、八方丸く収まるのでOK?

「雷雨の庭で」(有栖川有栖)
 題名は忘れたけど、これも短編集で既読だった。
 雷雨の夜、庭で殺されていた男。凶器も犯人の足跡もなく、
 容疑者となる隣人にはアリバイが・・・
 毎回思うが、事件の発生から解決直前までの "途中経過" を
 退屈させずに読ませる筆力はやはり非凡。

「迷家(まよいが)の如き動くもの」(三津田信三)
 これも題名は忘れたけど、短編集で既読だった。
 山中を彷徨う男の後を追ってくる足音、
 そして出会った作りかけの家と黒い影。
 短時間のうちに現れたり消えたりする "迷家"・・・
 幻想と怪奇たっぷりに始まって、合理的な解決に至る。
 やっぱりこのシリーズ、大好きだ。

「二枚舌の掛軸」(乾くるみ)
 どうもこの作者とは相性が悪いみたいだ。
 "主役" となる掛軸の構造からして、
 理解するのに凄く時間がかかったし、
 論理の展開も途中で何だかよく分からなくなって
 もうどうでもいいや・・・って思ってしまった。
 すみません、アタマ悪くて。

「読まず嫌い。名作入門五秒前
 『モルグ街の殺人』は本当に元祖ミステリなのか?」(千野帽子)
 私、評論文って苦手なのでほとんど読まないんだけど・・・
 要するに、『モルグ街の殺人』が書かれた時代には、
 まだ「本格ミステリ」って概念自体がなかったので、
 それが確立した後の世から見てみると、
 いろいろ "本格" でなく "破格" なところがある、
 ってことだけはわかった。


前の記事にも書いたように思うが、
今年の目標は積ん読状態の本、
それも買ってから時間が経っている本を極力減らすこと。
まあ、目標はあくまで目標なんだが・・・


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mojo

31さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。
by mojo (2015-03-17 23:54) 

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