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猫柳十一弦の失敗 探偵助手五箇条 [読書・ミステリ]


猫柳十一弦の失敗 探偵助手五箇条 (講談社文庫)

猫柳十一弦の失敗 探偵助手五箇条 (講談社文庫)

  • 作者: 北山猛邦
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2016/08/12
評価:★★☆

 人里離れた山奥の村で起こる連続見立て殺人を食い止めるべく、探偵助手見習いの主人公が奮闘する。探偵役は大学の教官・猫柳十一弦(ねこやなぎ・じゅういちげん)。名前はいかめしいが若い女性である。ちなみにシリーズ第2作。


 主人公兼語り手は、君橋君人(きみはし・きみと)。通称クンクン。
 日本で唯一、探偵助手としての技能と実践を学べる、大東亜帝国大学・探偵助手学部の学生だ。

 ある日、クンクンは後鑑千莉(のちかがみ・ちり)という19歳の女性と引き合わされる。彼女は山奥の村にある旧家・後鑑家の娘で、いまは地方新聞社で働いている。
 彼女の出身地・稲木(いなき)村には、『女子は成人までに結婚せよ』という因習があるのだという。しかし彼女の3人の姉たちも独身で、しかも定職に就かずにぶらぶらしている。それだけに、末娘である彼女にかかるプレッシャーは大きいらしい。

 千莉の20歳の誕生日は2ヶ月後に迫っていた。そこで、クンクンの友人・月々守(つきづき・まもる)が、千莉の彼氏として振る舞うことにし、その様子を村人たちに見せつけることになった。
 しかし偽装のはずの2人の仲はいつのまにか本物になってしまい、やがて婚約という運びに。

 これで一件落着かと思われたが、クンクンのゼミ教官にして探偵の猫柳十一弦は、これから連続見立て殺人が起こる可能性を提示する。ターゲットは千莉を含む四姉妹。
 クンクンと猫柳は殺人計画を阻止すべく、稲木村に向かうのだが・・・


 殺人が実行される前にトリックを暴き、犯人の意図をくじこうという発想はいいけど、それが面白さにつながっているかというとちょい疑問かな。
 作者お得意の壮大な物理トリックも登場するけど、やっぱりそういう仕掛けは、発動したあとの謎解きの方が面白いように思う。

 探偵役の猫柳十一弦というキャラも、メンタルが極端に弱いというおよそ名探偵ならざるユニークさ。だけどこれも、物語の面白さにつながってないような気がする。
 主人公のクンクンとそう年齢差がなく(猫柳は20代後半らしい)、彼女の方がなんとなくクンクンに好意を抱いていそうな描写もあるけど、それがラブコメにまでは発展しないのは、なんとも不完全燃焼だとも感じる。
 もっとも、そこのところは続巻で描かれるのかなとも思うのだが、このシリーズは今のところこの2巻目(刊行は2013年)で止まっていて、ここ10年近く続きが出てない。
 さて、どうなるのでしょうかね?



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