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アンデッドガール・マーダーファルス2 [読書・ミステリ]

アンデッドガール・マーダーファルス 2 (講談社タイガ)

アンデッドガール・マーダーファルス 2 (講談社タイガ)

  • 作者: 青崎 有吾
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2016/10/19
  • メディア: 文庫

評価:★★★★

吸血鬼、人造人間、人狼などの怪物や日本の妖怪たちが
公然と(一部は世間から隠れて)跋扈している。それに加えて、
多くの名探偵たちや怪盗、犯罪者たちも実在しているという、
古今東西のホラー&ミステリのテーマパーク(笑)みたいな
パラレルワールドが舞台となっている。

時は19世紀末。
産業革命から100年、科学文明を得た人類は次第に勢力範囲を拡大し
ヨーロッパ各地に潜む怪物たちを排除しつつあったが、
それでも ”人外の存在” が関わる事件は起こっていた。

そんな ”怪物事件” を専門に請け負う探偵・輪堂鴉夜(りんどう・あや)、
彼女の助手兼下僕の真打津軽(しんうち・つがる)、
そして鴉夜に仕えるメイドの馳井静句(はせい・しずく)の
3人組が、異形の怪物や犯罪者に立ち向かうシリーズ、第2作。

「80日間世界一周」という ”偉業” を成し遂げ、
大富豪となったイギリス貴族フィリアス・フォッグは、
ロンドンの大豪邸に世界中から集めた ”お宝” を展示する
博物館を設置した。

その彼のもとに予告状が舞い込む。差出人はアルセーヌ・ルパン。
フォッグの所有する宝石〈最後から二番目の夜〉を頂戴に上がるという。

フォッグが博物館の警備を依頼したのは、
世界一の名探偵シャーロック・ホームズ。
そしてロンドン警視庁からはレストレード、
パリ市警からはガニマール警部がやってくる。
警官隊が周囲を固める中、輪堂鴉夜たちの一行もそこに加わる。

しかし今回、事件に関わるのは彼らだけではない。

宝石盗難を防ごうと、保険機構〈ロイズ〉の諮問警備部から
2名のエージェント、レイノルドとファティマがやってくる。

そして、鴉夜たちが行方を追っている ”教授” と名乗る謎のグループも
「怪物軍団」を率いて宝石強奪戦に参入してくる。

今回はミステリ要素は希薄。その代わり、
全編を通じてアクションシーンの連続だ。

異形の怪物が跳梁するシリーズではあるが、
人間の中にも桁外れの戦闘能力を持つ者がいる。
というか、登場人物で ”普通の人間” を探す方が難しいだろう。

ホームズもルパンも超常の格闘能力を示すのはまあ分かるが
ワトソンもなかなかの活躍をするし、ルパンの相棒として登場するのは、
あの ”オペラ座の怪人”・ファントムだ。
まさに英仏のオールスター集結といったところ。

ロイズからのエージェントに至っては、
人間としての極限に近い ”超絶殺人技” を持つ上に、
「怪物」と名のつくものの一掃を目指しているので、
もちろん鴉夜たちも ”粛正対象” だ。

そして ”教授”(このシリーズを読む人なら正体は見当がつくだろう)が
率いるのは吸血鬼カーミラ、人造人間(前作で登場)などの怪物たち。

ホームズ vs ルパン vs ロイズ vs 教授 vs 鴉夜たち という
三つ巴どころではない五つ巴くらいの大乱戦が展開される。

とにかく出てくるキャラの数が多い上に、みな濃い人(笑)ばかり。
作者はさぞかし大変だったろうと思うが、きっちり交通整理をして
彼ら彼女らそれぞれに ”見せ場” を作ってみせるのは流石だ。

津軽の超人ぶりは前作でも描かれたが、今作では静句さんも大活躍。
表紙に描かれた武器を駆っての吸血美女カーミラとの一騎打ちは
本書の読みどころの一つだろう。

〈最後から二番目の夜〉争奪戦は本巻で決着がつくが、
この宝石が狙われた理由が次巻につながる。
いやはやこのシリーズ、どこまで行ってしまうのだろう。


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