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「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち 第五章 煉獄篇」感想・・・のようなもの その4 [アニメーション]


※ネタバレ全開です! 未見の方はご注意ください。


▼第16話「さらばテレサよ!二人のデスラーに花束を」(後編)


■アベルト&ランハルト 4

「総統・・・」
「面映ゆいな。その肩書きはおまえが求めていたもののはず」

 前章の「ぞっとしませんね」に続いて「面映ゆい」。
 またまた辞書で調べてしまったよ。
 「きまりが悪い」「照れ臭い」の意だそうで。

「テレサがここから連れ出せるような存在なら
 裏切りを疑わねばならんところだが・・・」
「あなたこそ、お一人で何を」
「たぶん、おまえと同じだ」

デスラーでも、自分の進むべき道に迷いを覚えることはあるのか?

「誰にでも心の支えにするものがある。
 己の力だけを頼りに生きてきたものなら、特に」
「だが、私はその支えに・・・」

イスカンダルを威嚇してコスモリバースを奪うことなく
外宇宙へと移住先を探してきた。
それは ”彼女” の平穏を保つためでもあったのか。

「ガミラス民族を移住させるため、
 根本から環境を作り替えるはずだったその星に
 彼女は救いの手を差し伸べた」

赤い地球をバックにスターシャの姿が。

 そうなると、地球への攻撃を遊星爆弾に切り替えたのは
 火星沖海戦に負けたからわけではなく、
 環境改造のためにあらかじめ予定されていたことだった、
 ってなるわけですかね。
 ガミラスの他の植民星と比べて、地球のどこが異なっていたのか、
 なぜ地球が選ばれたのかも知りたくなります。

「そのイスカンダルを救うために、あなたは・・・」
「コスモリバースは万能ではない。
 地球と違って、もとより滅びを定められたガミラスを
 救えるかどうか・・・
 私は外宇宙に新天地を求めた。しかしその結果・・・」

ここで「ふっ」と自嘲気味の笑い。
2202でのデスラーは、旧作では見せなかった顔を見せてくれる。

「おまえも知っての通りだ。
 あのとき、私は何を滅ぼそうとしたのか・・・」
「デスラー総統・・・」

ホント、何を滅ぼそうとしていたのですかね。
いろいろ背負うものが多くなりすぎて
一回リセットしたくなったのかな・・・とは思いましたけどね。

「だが、どんな理由があれ
 多くの臣民を巻き添えにしようとした事実は事実だ。
 その罪は償って償いきれるものではない」

その前に、地球人口の2/3を死に至らしめた罪も償ってほしいって
思う私は、やっぱりデスラーのファンではないのでしょうねえ。

ついでに言えば、植民星の二等市民たちも
デスラー総統の名の下に多くの者が虐殺されてる。
もっとも、そういう人々はもとから彼の眼中にはないのかも知れんが。

「この先、ガミラスの民がまた “デスラー” を求めるというのなら
 それはお前だ」
「それは・・・」

外した視線を泳がせて・・・こんな弱気なキーマンも初めて。

「お許しを・・・」

足早に立ち去るキーマン。

残ったデスラーにテレサが語りかける。

「あなたの心には、いつもあなた以外の誰かが。
 その誰かを、あなたは自分自身より大切に想い続けている。
 その想いがある限り、あなたには民を率いる資格があります」

「ふふっ、聞かれぬ事にはよくしゃべる」

上手いなあこの台詞。16話で一番好きだ。

ここで “花吹雪” を背に去って行くデスラー。
外連味たっぷりで、いやあカッコいいですねぇ。


■ヤマト

「これですべての縁が整ったようです」

雪に届いたテレサの声。
テレサは雪を無視していたわけではないのですね。


■ガミラス大使館

バレル大使がヒス長官(副総統から役職が変わったのですね)へ報告。
デスラー派の指導者がギムレーであることを。
ここでなにげに、ヒス君初台詞。
そして大使は保安情報局だったのですね


■クルー解放

ここで流れるBGMは、13話の波動砲発射シーンでのもの。
ああ、早くサントラ第2弾がほしい。

「思いを残せば・・・」

反波動格子が機能停止、そしてヤマトの波動エンジンが復活。
キーマンは見張りのガミロイドを倒し、古代たちを解放する。

「俺は・・・俺たちは何を信じればいい」
「何も。潜入中の工作員の言葉に真実はない。
 ガミラス保安情報局、内事部所属捜査官。それが俺だ」

 フリッツ少尉かと思っていたら如月行だったでござる(笑)。

「ヤマトへ戻るぞ。俺を殺すなら後にしろ」


■ランハルト造反

一方、タランと共にノイ・デウスーラへ戻るデスラー。

「造反?」
「先のお戻りになったランハルト様が、地球人を解放した模様です」
「好きにさせておけ。ヤマトも」

このときのデスラーの胸中はどんなだったのだろう。
甥(ランハルト)と共に、
重荷を分かち合う道を期待していたとは思うのだが・・・

ランハルトの決断を尊重したのか、
自分とは同じ道を歩むことはできない男だったのか、と諦めたのか、

周囲がどうであれ、もう自分はこの道を進むしかない、と
腹をくくっているから、造反も受け入れることができたのか。


■ヤマト復活

突然の波動エンジン復活に戸惑うクルー。しかし土方は決断する。

「いや、このまま飛ぶ! 島、発進準備にかかれ!」


■キーマンの真意

「バレル大使は情報部の出身で、
 民主化がガミラスの未来を作ると信じている。
 俺は大使の命を受け、正体不明の黒幕を挙げるために動いていた」
「しかし、君はデスラー家の」
「だからこそだ。ガミラスを真の民主主義に委ねる。
 それは独裁者の家系に生まれた者の、せめてもの罪滅ぼしだ」

とはいっても、彼本人には何の罪もないのだけどね。

「じゃあ、ヤマトに乗り込み、
 テレザートへ向かうよう誘導し続けたのも」
「すべてはデスラー派の信頼を得て、正体不明の黒幕にたどり着くため。
 それは成功した。だが、当のデスラーが現れるとは」
「なぜ彼と行かない?
 ガミラス星がじきに寿命を迎えるという話が真実なら・・・」
「そうだ。そういう選択肢もあった。
 しかし、女神に教えられた。
 考えるな、感じたことに従えと」

ヤマト艦内で暮らした何日かで
キーマンの中にも変化が訪れたのだろう。

そしてその理由は、「そこがヤマトだったから」なのだと思いたい。


■ノイ・デウスーラ脱出

斉藤と永倉がガミロイドと交戦。
連絡艇に乗り込む4人、ハッチを開放するキーマン。

敬礼する古代、答礼するキーマン。
最初はガミラス式、そして後半はヤマト式で。
ここはキーマンの変化、そして覚悟を示しているのだろう。

連絡艇は脱出、キーマンもツヴァルケに。
しかし一発の銃弾がキーマンの脇腹を貫く。

撃ったのはミル君。
あんたやっぱりそういう役回りなんですねぇ(笑)。

「あなたも予定にない道を選んだ。その衝動と感情が宇宙を滅ぼす!」
「そう・・・感情だ。だからこんなまねも」

リストバンドのスイッチを操作するとドック各所が爆発。
仕込みは充分だったんですね。さすが潜入工作員。

「貴様!」

そしてツヴァルケも脱出するも、古代たちはキーマン機を見失う。
すかさずヤマトからコスモタイガーⅠが発進。

「これまでか」

キーマンは海面に不時着。
ここからのBGMは「独裁者の孤独」。

「俺は一人だった。一人なら何でもやれた。でも、今は」

「今は」の続きは何だろう。
順当に考えれば「今は一人ではない」かな。
今では、彼を受け入れてくれるヤマトの仲間がいる。
そしてそこは「帰ることができる場所」でもある。

「一人でいることは虚しい」もあるかな。

沈みゆくツヴァルケ。

「母さん・・・」

死を覚悟すると、男というものは母の顔を思い出すものなのか。
フードをかぶった姿は、「999」の鉄朗の母みたいですね。
これは狙ってるんだろうなあ・・・。

「もう一度・・・」

そんなキーマンを必死に捜索する山本。

「救出する、絶対に!」

ついに不時着したツヴァルケを発見、
機と運命をともにしようとするキーマンを死の淵から掬い上げる。

 コスモタイガーⅠって、今回の海面上でのホバリングを含めて
 いろいろ不思議機能を満載してそう(笑)。


■テレザート消滅

テレザリアムから謎の発光が。

島「何だ、何が起きてる」
雪「テレサ・・・」
土方「雪、どうした?」
雪「テレサが・・・忘れないで、と」

テレサの声が人々の心に響く。

「さようなら、皆さん。
 私は私のいるべき場所に帰り、これからも祈り続けます
 でもそれは、どこか決まった星や
 人々のために祈るのではありません」

それはデスラーにも届く。
「所詮、手の内に収まるものではなかったか」

「星と星、時と時、そして、人と人。
 縁によって結ばれた命のフィールド」

古代を出迎える雪。
キーマンを抱えてコスモタイガーⅠを降りる山本。
出迎える古代たち。このときのキーマンの表情がいい。
もう誰も偽る必要がなくなったわけで、素の顔を見せているのだろう。

「この宇宙を支える力」

ノイ・デウスーラ艦内をさまようミル。
彼の脳裏に映し出されるものは・・・

「何だ、これは」

山本とキーマンを見下ろすカット。
つづいて古代たちを横から見るカット。
これは誰の視線なのか。やっぱ斉藤?

「大いなる和のフネに願いを託し、私は祈り続けます」

テレザート星そのものが光に包まれ、消えていく。

第一艦橋からそれを眺めるクルーたち。
古代と雪は指を絡め・・・雪の婚約指輪が光る。

「縁・・・宇宙の・・・愛か」

旧作「さらば」でも ”宇宙の愛” なるものが出てきたが。

キーマンを看病する山本。

デスラーの艦隊は、さらなる後続の艦艇群と合流し、大艦隊となる。
こんなにいたんだねえ。
デスラー生存の情報で新たに馳せ参じたものもいるのだろうか。

ついでに、不穏な顔つきのミル君も乗せて(笑)。


■ヤマト反転

土方が語る。
「祈りは託された。
 我々はガトランティスを阻止せねばならない。
 この宇宙に生きるすべての命のために」

「針路反転! 両舷全速、ヤマト、地球へ向けて発進!」

ヤマトはいざ決戦の地、太陽系への帰還へと舵を切る。


■潜入工作員の孤独

15話が “デスラー回” だとしたら、
16話は “キーマン回” と言っていいだろう。

第2話で初登場以来、文字通りストーリーのキーマンとなり
ヤマトを、古代をテレザートへと誘導してきた。

確固とした信念に裏打ちされて、ときには冷酷非情にも見えた彼の、
その内面がついに明かされる。

その特殊な出自、そしてその真の目的。
そしてそれゆえにヤマト艦内では孤立した存在となって。

本人は覚悟して引き受けたことではあっても
ヤマト艦内での生活、クルーとの触れあいが彼を少しずつ変えてきた。
古代、加藤、斉藤、そして山本。
この回に至り、彼もまた ”ヤマトのクルー” の一員となったと思いたい。

 母とともに追放された幼少時の彼が、
 成長して工作員となるまでを描くスピンオフなんかも面白そうだ。
 外伝小説あたりで出ないかな。
 保安局にスカウトされたのも、その出自が大きかったろうし。

第五章の後半17・18話では
ストーリーに関わることはほとんどなかったが
来たるべき第六章、そして最終章では
ヤマトとともにガトランティスと戦うキーマンが見られると期待している。


「その5」へ続く

nice!(4)  コメント(6) 
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コメント 6

mojo

はじドラさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2018-06-28 01:45) 

mojo

Ujiki.oOさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2018-06-28 01:45) 

mojo

@ミックさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2018-06-28 01:45) 

mojo

鉄腕原子さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2018-06-28 01:45) 

めとろん

mojoさん、こんばんは。

まさしく16話はキーマン回でしたね。

でも、「台詞」の面では、キーマンの「俺を殺すなら後にしろ」も痺れましたが、やはりデスラー総統の「面映いな...」「ふっ...」「好きにさせておけ」そして極めつけの「聞かれぬことにはよく喋る」の方が一枚も二枚も上手かと...

「彼女」のスターシャ、綺麗でしたね。個人的には旧作からでもこの絵が一番綺麗だと思いました。

あとは、「タマちゃん無双」www
初見で友達の間でも「あれって...」と上映後の最初のツッコミどころでした(笑)
まあ、素直に受け止めれば、玲ちゃんとメルダのオマージュなんでしょうけどね。

ああ、早くキーマンがヤマトと共に戦うシーンが見たいです!!
その時はバーガーもフラーケンもメルダもネレディアもそして「ヤーブ・スケルジ」も(笑)一緒に戦ってくれないかな。
あっ、忘れてました。千両役者のゲール君もwww

by めとろん (2018-06-28 22:42) 

mojo

めとろんさん、こんばんは。

>「台詞」の面では、(中略)「聞かれぬことにはよく喋る」の方が
>一枚も二枚も上手かと...

「2202」のデスラーは名台詞の宝庫ですね。

>「彼女」のスターシャ、綺麗でしたね。
>個人的には旧作からでもこの絵が一番綺麗だと思いました。

そうですね。でもあれはデスラーの “心の中のスターシャ” なのかも。
”思い出補正” が入っているのかも知れませんよ(笑)。

>あとは、「タマちゃん無双」www

映画館で観終わって出るとき、私の前を歩いていた二人組のお兄さんが
「コスモタイガーⅠって、一体どんな構造してるんだよ」って
笑いながら話してました。
まあタマちゃんはスポンサーもついてるし、
無双するのが約束されたキャラでもありますしね(おいおい)。

>バーガーもフラーケンもメルダもネレディアも
>そして「ヤーブ・スケルジ」も(中略)千両役者のゲール君もwww

ヤマトがこれまでの航海で ”縁” を結んだ人々が
こぞってガトランティスとの戦いに参加する。
それこそが、ヤマトがテレサに選ばれた理由でしょうから。
あと残り二章ぶん、楽しませてほしいですね。


ありがとうございました。
また、よろしくお願いします。

by mojo (2018-06-29 02:46) 

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