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小説版「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち Ⅰ 《地球復興》 」 [アニメーション]


小説 宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち (1)

小説 宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち (1)

  • 作者: 皆川 ゆか
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2017/10/13
  • メディア: コミック
堂々500ページ超のノベライズである。
内容は本編の第1話~第5話まで。

基本的にはアニメの内容をほぼ忠実に再現しているといえる。
ただ、展開はアニメの流れに沿ってはいない。
もっぱらキャラにスポットを当てたつくりになっている。

例えば、「第一章 古代進」では第1話の内容を
<ゆうなぎ>中心に描いている。
つまり、地球司令部におけるパートは一切出てこない。
雪や桐生、藤堂や芹沢のシーンは一切ないのだ。

ではそのシーンはカットされているのかといえばさにあらず、
「第二章 英雄の丘」において雪の回想シーンとして描かれるのだ。

他の部分でも同じように、本編の流れをいったん分解し、
その章でスポットを当てたキャラに合わせて再構成している。

とは言っても、重要なシーンで抜けているところはないと思う。
映像で描かれたところはだいたい文章化されているのではないかな。

読むほうとしては変化があって面白いのだけど
(まあこんな風に読む人はまずいないと思うが)
本編を見ないで、まず小説版から読もう、なんて思ったら
時系列が頻繁に前後するので、
戸惑うというか理解しにくいんじゃないろうか。
(繰り返すが、こんな風に読む人はまずいないだろうけど)

であるから、本書の正しい(笑)読み方は、
やっぱり「観てから読む」ことだろう。


上にも書いたが、500ページを越えるボリュームがあるので
書き込みも充分だし、映像にはなかったエピソードや
説明されなかった細かい設定なども網羅されている。

例えば、物議を醸した "敬礼の変更" も、
国連宇宙軍から地球連邦防衛軍への改組に伴うものだと明示されてる。
コスモリバースシステムで甦った地球の様子の詳細とか、
地球の復興もいまだ少数の大都市に留まっていて
全く進んでいない地域も多いこと、なども明らかになる。

大きなエピソードの追加は2つ。どちらも雑誌媒体で
発表済みのものなので、ちょっと内容に触れておくと
まずはキーマンが地球に潜んでいるガミラス人スパイに接触する話。
これはちょっとしたサスペンス短編だ。
2つめは、軍を辞めることにした島を巡る話。
実際、民間企業からオファーがあったりするし、
島の母は就職も大事だが息子の女っ気の無さも心配したりとかする。
そして最後は「さすがは島大介の母」で締める。
ついでに、島がヤマトに乗り込むにあたり、
どうやって制圧部隊の制服を手に入れたのかも分かる。

細かいところでは、本編で描かれた以外のヤマトクルーが
コスモウェーブで見た "幻" のこととか。
けっこう意外な人物も現れたりしてる。

キャラによっては、メッセージが「ヤマトに乗れ」だけでなく、
近未来に起こることを予言されたりしている。
このあたり、テレサはやはり高次元の存在で
過去から未来まで見通しているのかなぁと思わせる。
ならば、地球を旅立ったヤマトの辿る運命もまた
テレサはすべて知っているのかも知れない。

面白かったのは、旧ヤマトクルーの監視要員になっている人も
いろいろだ、というのが描かれてること。
例えば新見さんの病室を監視している人は・・・
まあこのへんも読んで下さい(笑)。

ちょっと驚いたところでは、
コスモリバースシステム起動の瞬間が描かれていること。
地球にヤマトが帰還したあと、どのタイミングで起動したのか。
まあこのへんも読んでのお楽しみだね。

ラストの十数ページは、ヤマトに合流するシーンの
加藤のモノローグで〆となる。
分かってはいるんだけど、この展開はずるいなぁ。
実際、読んでいて涙が出てきてしまったよ。

著者はガンダム関係の小説などで有名な人らしいんだけど
全体的に読みやすく、なかなか達者な文章を書いていると思う。

1巻で5話分なら、最低あと4~5巻は出るはず。
これもまた楽しみになってきたねぇ。

nice!(2)  コメント(6) 
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おか

mojo様 こんにちは
私も読み終わりました。2199のよりもボリュームがあって、
小説にしたかいがある感じですね。
それと、記事の中でも触れられていますが、「懸案の」
『敬礼違うんじゃないか』問題にも答えが書いてありましたね。
私としては、震災を経験した後ということもあり、復興の難しさを、
きちんと描かれていたのには考えるところがありました。
蛇足になってしまうでしょうが、もう少し「期間後の日常生活」
が読みたかったなぁ、という気がしましたが。
by おか (2017-10-21 12:29) 

mojo

おかさん、こんばんは。

>復興の難しさを、きちんと描かれていたのには考えるところがありました。

謎の超技術ですべてオッケー、とはならなかったところが
しっかり描写されていましたね。

>もう少し「帰還後の日常生活」が読みたかったなぁ、

それは私も思います。

土方の前で、雪との結婚の許しをもらうために
ガチガチに緊張している古代とか、
父親と派手なバトルを繰り広げる南部とか、
分娩室の前でオロオロしている加藤とか、
家族会議で総反対にあっても、それを押し切って軍務を続ける徳川とか、
真田と新見の空白の(笑)三年間とか。

台詞も名前も無かったようなヒラの乗組員の、
旅の前後での生活の激変ぶりを描いても面白いでしょうね。

下世話ですが、地球を救った恩賞に何をもらったのかも気になります。
みんな昇進はしていないみたいですが、
その代わりに勲章とか報奨金とかがなければおかしいですよねえ。

オリンピックで金メダルを取ることよりも凄いことをしたんだから
一生食うに困らないくらいの年金が出ていても驚きませんが。

短編集でもいいので、そんな「外伝集」みたいなのも読みたいですよね。


by mojo (2017-10-21 20:47) 

mojo

@ミックさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。
by mojo (2017-10-21 22:41) 

mojo

鉄腕原子さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。
by mojo (2017-10-21 22:41) 

おか

mojo様こんばんわ。
この雨の中、観てきました。
本編についてはともかく、私のの中の「徳川さんの妄想」は、こうです。

「いあやじゃ!わしはアイ子と遊ぶことだけが楽しみだったんじゃ!」
と駄々をこねるも、
「お父さん!みんな復興で頑張ってるんですから、わがまま言わないでください!」
と、ヤマト出発前とは180度変わって軍務に無理矢理復帰させられる徳川さん。
トボトボと肩を落として軍に戻ると、それはそれでやっpり生き生きしてしまう。
なんて言うのを『妄想』してました。
by おか (2017-10-22 21:08) 

mojo

おかさん、こんばんは。

昨夜、一度投稿したのですが
サーバ障害とやらでうまくアップできなかったようです。


>軍務に無理矢理復帰させられる徳川さん。

おかさんのコメントを読んでいるとなんだか身につまされます。
実は私も "定年" というモノがけっこう迫ってきておりまして。

願望としては、今の仕事からすっぱり足を洗って
のんびりと読書三昧の日々を送りたいのですけど
ちょっと前にそんなことをかみさんに話したら
「何言ってるの。定年後もしっかり働くんでしょ」

まあ、"先立つもの" の問題もあって(笑)
何らかの形で働かなくてはならないのですが・・・

おかさんのコメントの徳川さんの姿に私を重ねてしまいました。
私も職場で生き生きできる定年後を迎えたいものです・・・


by mojo (2017-10-24 02:20) 

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