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完全・犯罪 [読書・ミステリ]

完全・犯罪 (創元推理文庫)

完全・犯罪 (創元推理文庫)

  • 作者: 小林 泰三
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2012/07/27
  • メディア: 文庫



評価:★★

「大きな森の小さな密室」に続くミステリ短編集の第2弾。

「完全・犯罪」
 時空(じくう)博士は、長年にわたり
 タイムトラベル理論を研究していた。
 しかしライバルの水海月(みずくらげ)博士が一足先に理論を完成、
 発表してしまったために研究の栄誉はすべて水海月博士の手に。
 怒り心頭の時空博士は、開発したタイムマシンを使って
 5年前の水海月博士の家へ爆弾を送り込み、殺害を謀るが・・・
 ミステリと言うよりは典型的なドタバタSF。
 おなじみのタイムパラドックスがらみの大騒動が語られる。
 藤子・F・不二雄あたりが描きそうな話で
 「ドラえもん」にも似たようなオチがなかったかなぁ・・・

「ロイス殺し」
 主人公・アルフレッドの生い立ちから話が始まる。
 幼少期の描写にはホラーっぽいところが多くて怪談みたいだけど
 後半、アルフレッドの因縁の相手・ロイスが殺されるあたりは
 リアルな不可能犯罪ものとしてよくできてる。
 本書中、本格ミステリ度は一番。

「双生児」
 一卵性双生児の姉妹・真帆と嘉穂。
 幼少期に名前を取り違えて呼ばれたことから
 真帆は思春期を迎えても
 「自分は果たして真帆なのか?
  ひょっとして嘉穂なのではないか?」
 というアイデンティティに悩むようになる。
 そして、二人が同じ男性を愛したことによって起こる悲劇。
 このラストはダークです。後味悪いです。私は苦手です。

「隠れ鬼」
 遊歩道を歩いていた主人公が、
 たまたま一人のホームレスと視線が合ってしまう。
 すると、突如としてそのホームレスが主人公を追いかけ回し始める。
 昔、筒井康隆の短編にもこんな話がなかったかなあ・・・
 ホームレスの正体も、追いかけてくる理由もとっても恐い。
 私は苦手です。

「ドッキリチューブ」
 一般人をターゲットに "ドッキリ" を仕掛け、
 その様子をビデオにして放送する動画番組を製作するチーム。
 冒頭で、 "罠" にかけられた一般人カップルが、
 仕掛けられた "ドッキリ" に翻弄されるさまが語られるんだが
 これがはっきり言って不愉快きわまりない。
 後半、仕掛けた側が今度はきっちりツケを払わされるんだが
 それでも腹の虫が治まらないんだなぁ。
 ミステリとしての出来不出来以前に、生理的に好きになれない。
 まあそう感じさせるくらい作者の筆力が達者なのは認めるが
 それでも不快なものは不快。
 我ながら心が狭いなぁとは思うが、私はこの作品は苦手です。


ミステリの評価として、快/不快を基準にするのは
如何なものかとも思うのだけど、
この短編集に限っては、ピンポイント的に
私の苦手な部分を突いてくる作品が多くて・・・

たまにはこんなこともあるのです。


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mojo

31さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。
by mojo (2015-03-14 21:22) 

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