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『ゴジラ ー1.0』 ネタバレあり感想 前編 [映画]


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 公開して三週間近く経ちましたので、そろそろネタバレしてもいいかなぁ、というわけで、表記にあるとおり、これから『ゴジラ ー1.0』の感想をネタバレ全開で書いていきます。未見の方はぜひ劇場でご鑑賞の上で再度お越し下さい。
 映像・音響共に、まさに映画館の優れた設備で ”体験” するための作品で、一見に値する映画だと思います。

 「あらすじ」については、11/14にアップした「ネタバレなし感想」の方に書いてますので、そちらを参照してください。

 なお、この記事には同映画のノベライズ版の記述も一部参考にしています。

小説版 ゴジラ-1.0 (ジャンプジェイブックスDIGITAL)

小説版 ゴジラ-1.0 (ジャンプジェイブックスDIGITAL)

  • 作者: 山崎貴
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2023/11/08

 こちらは、ストーリーはほぼ映画を忠実になぞっていますが、登場人物の心情の深堀りがあったり、映像では分かりにくい部分の補足情報があったりするので、興味のある方には一読の価値があると思います。


 それでは、映画を観ていて感じたこと、あるいは見た後につらつら考えたことも含めて、映画の流れに沿ってダラダラと書いていきます。いちおう「感想」とは銘打ってますが、いつもながら駄文の羅列になってるので悪しからず。
 m(_ _)m


■敷島登場

 終戦間近の1945年。零戦パイロットの敷島浩一[神木隆之介]は、機体の不調を理由に大戸島に降り立つ。穴ぼこだらけの滑走路にもかかわらず、転倒することもなく無事に着陸してしまう。

 敷島は「実戦経験は無いが、模擬空戦は優秀」、つまり操縦技術は一流というのはここで見せておかないと終盤へつながらないからね。

 しかし機体の故障は偽り。特攻作戦から逃げてきた(おそらく仲間たちは全員死んでる)というのが彼の ”負い目” になっていく。

 ノベライズ版には、島の整備兵たちが敷島に対してささやかながら歓迎の宴を開くという場面もある。ちなみに、鍋の中身は ”あの” 深海魚(笑)。


■ゴジラ登場

  その夜、大戸島を謎の巨大生物・ゴジラが襲う。この時点の大きさは15mとパンフレットにある。ほとんど『ジュラシック・パーク』の世界。圧倒的な破壊力で島を蹂躙、敷島と整備兵の橘[青木崇高]以外の全ての人間は殺されてしまう。人間が咥えられるシーンでは「まさかの人喰い?」かと思ったら遠方へ放り投げて。人間は喰わないようだが、そもそもゴジラの主食って何だろう?

 敷島は、橘から零戦の20mm機銃でゴジラを撃てと言われても、目の前の怪物の恐怖にすくんでしまって引き金が引けない。このへんの敷島の心情についても、ノベライズ版では深堀りされている。
 この行動が二つ目の ”負い目” となる。


■復員

 終戦となり、復員船に乗ってやっとの思いで帰ってきた敷島。東京は瓦礫の山に。両親も空襲で死んだという。隣の奥さんの澄子[安藤サクラ]からは、「恥知らず」と罵られる。

 とにかくこの映画の(主に前半)中では、敷島は(いろんな意味で)とことん追い詰められるという役柄。


■共同生活

  敷島は闇市で典子[浜辺美波](&明子)と出会い、なし崩し的に同居が始まる。夫婦でも恋人でもない若い男女が一つ屋根の下で暮らすという、どこぞのラブコメみたいな展開。

 こんな美人が横にいて、何もないわけがなかろう・・・とも思うが、映画を観ている限り、同居人の関係以上には見えない。人生を半ば放棄しているという敷島の設定もあるし、神木×浜辺コンビの醸し出す雰囲気のせいか、見ているうちにその辺はどうでも良くなってしまうというか、二人が一緒に暮らしていることに違和感を感じなくなってしまう。これが『らんまん』効果なのかも知れない(笑)。ネットでもこのあたりへのツッコミはほとんど無いみたいだし。


■機雷処理作業

 1946年3月。敷島は戦争中に敷設された機雷の撤去作業の仕事に就く。金のためという敷島に対し、典子は「死んだらダメです・・・」と言う。
 ともすれば ”死” へ向かおうとする敷島に対し、典子は常に ”生” の側にいる。

 作業船・新生丸で、艇長の秋津淸治[佐々木蔵之介]、元技術士官の野田健治[吉岡秀隆]、乗組員の水島四郎[山田裕貴]と出会う。


■復興の兆し

 機雷撤去は命がけな分、給金はいい。敷島たちの暮らしていたあばら家は、小さいながらも新しい家へと建て直される。
 最初は襤褸をまとっていた典子も、次第に質素ながらもちゃんとした服へと変わっていき、ゆっくりとだが復興が進んでいることを伺わせる。

 お隣さんの澄子も、明子との関わりを通じてだんだん穏やかな表情になり、いつのまにか昭和の時代によくいた ”世話好きな近所のおばちゃん” へと変貌していく。このあたりの演出は上手いなぁと思った。
 それにしても安藤サクラさんの割烹着姿は似合いすぎ(笑)。


■典子、銀座へ

 頑なに自分との関係を進めようとしない敷島に対し、典子は自立を目指して銀座へ働きに出ることを決める。

 闇市で出会った頃こそ、蓮っ葉な口調で喋っていたが、同居を始めてからは穏やかで細やかな言葉遣いに変わり、家事も育児もきっちりこなしていて(ノベライズ版によると、澄子さんからいろいろ教わっていたらしい)、さらには事務員として働き出すに至っては、もともとの ”育ち” は決しては悪くなかったのだろうと思わせる。それも、浜辺美波さんのキャラのなせる技か。

「急ですね」
「ずっと考えていたんです」

 典子はここで敷島のことを試していたのかもしれない。ノベライズ版では、このやりとりのときの二人の心情も描かれる。このあたりは、小説ならではの描写といえるだろう。


■ゴジラ再出現

 ゴジラの足止めのために駆り出される新生丸。秋津の「誰かが貧乏くじを引かなければならない」という台詞は、後半になって効いてくる。
 そして再出現するゴジラ。口の中で機雷が爆発して傷を負うというシーンもまた後半への伏線か。もっとも、再生もとんでもなく早いが。


■「高雄」消滅

 重巡洋艦「高雄」との ”近接格闘戦” も本作の見せ場の一つ。
 艦体にのしかかってきたゴジラに対し、超近距離からの直撃を喰らわせるシーンには、思わず「おお!」って叫びそうになった(叫ばなかったけど)。
 しかし健闘虚しく、ゴジラの熱線で海の藻屑へ。


■敷島と典子

 負傷して帰ってきた敷島は、典子に過去のトラウマを語る。

「俺は生きていてはいけない人間なんです」
「浩さん。生き残った人間は、きちんと生きていくべきです」

 戦争によって ”死” を求めるようになった敷島、同じく戦争から ”生” への執着を身につけた典子。
 彼女のこの言葉が、映画のクライマックスでの敷島の決断に影響を与えたのは間違いないだろう。

 明子に味噌汁の味見をさせている典子を見て、「もう一度生きてみたい」と思う敷島。銀座での ”あのシーン” の前にこれを見せておくとは、まさに監督は鬼だね(褒めてます)。


■東京上陸

 今回のゴジラの大きさは50.1mだそうな。最盛期(?)には100mくらいあったことを考えるとコンパクト。

 だけど舞台が終戦直後だからね。ゴジラより高い建物はない(たぶん)。小さくなった分、地上と頭部の距離も近くなったので、人間の視線からはゴジラの恐ろしさが際立って感じられる。
 映像もそのあたりを強調する演出がされていて、迫力が凄い。第1作『ゴジラ』(1954)を彷彿させるシーンもある。


■銀座壊滅

 ゴジラが電車が咥えるシーンは、いままでもあったけれど、最新の映像で乗客の阿鼻叫喚ぶりも描かれる。乗り合わせていた典子の苦難たるや、もうね・・・

 ちなみに典子が落下した川は、ノベライズ版によると「外堀川」。この川は東京オリンピックの際に埋め立てられて、首都高速の敷地になってしまったので現存しないみたい。

 奇跡的に命拾いをし、助けに来た敷島と無事に巡り会うのだが(あの群衆の中、よく見つけたなぁとも思うが、そのへんは作劇上の ”お約束” だろう)、その直後にゴジラの熱線が炸裂する。

 今作の熱線は、発射までのシークエンスというか ”タメ” が充分に描かれる。ネットの感想にあった(『宇宙戦艦ヤマト』の)「波動砲」みたいって意見は、まさに言い得て妙。短時間での連射が効かないあたりも共通している。

 そして、今回の熱線は威力が凄まじい代わりに、ゴジラ自体にも損傷(主に上半身の一部に、赤く爛れたような部分が現れる)が生じる様子。これもまた終盤の展開に必要な伏線。

 そして発射後の閃光、大爆発、発生する巨大なキノコ雲、そして荒れ狂う爆風の演出は、ほとんど「核兵器」だろう。

 その爆風から敷島を守った典子だったが、自身はその代わりに吹き飛ばされてしまう。目覚めた敷島が観たものは一面の瓦礫の山、もちろん彼女の姿はない。彼がさんざん苦しんだ末に掴んだ小さな幸せの夢が、無残に散ってしまった瞬間だ。辺り一面に黒い雨(!)が降り注ぐ中、敷島が上げる絶望と怒りの叫びが、廃墟となった銀座に響き渡る・・・

 観ていて思わず「えぇーっ」て叫びそうになった(叫ばなかったけど)。
 まさかの典子さん退場か・・・とも思ったが、死体となった描写がないのだから、典子はきっと生きているはず。初見の時はそう信じながら後半を迎えていたよ・・・。

 ここまでで上映時間のおよそ半分あたり。
 以下、後編に続く。アップは11/30頃の予定。



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