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『ゴジラ ー1.0』 ネタバレなし感想 [映画]


 ゴジラ70周年記念作品。日本で製作された実写のゴジラ映画としては、2016年公開の『シン・ゴジラ』に続いて通算30作目。

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 結論から言うと、私はとても楽しませてもらいました!
 100点満点で言うと100点です。ホントは120点あげたかったのですが、いろいろツッコミどころが多すぎたので20点減点しての100点です(おいおい)。
 この記事を書いている時点で2回鑑賞してますが、あと2~3回はリピートしようと思ってます。

 さて、”ネタバレなし” とは言っても、ある程度は映画の内容に触れざるを得ません。致命的なネタバレはしていないつもりですが、予備知識がないほうが楽しめるのは間違いないので、未見の方は以下の駄文なんぞ読むより、直ちに映画館へ直行していただくことを推奨します。金と時間を掛けるだけの価値がある作品だと思いますので。


 それでは、ある程度のあらすじ紹介は必要かと思うので、前半部分だけをかいつまんで。Wikipediaの記事を要約/編集したものを掲げます。

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 第二次世界大戦末期の1945年(昭和20年)。零戦パイロットの敷島浩一[神木隆之介]は、特攻へ向かう途中で機体が故障したと偽り、大戸島の守備隊基地に着陸する。
 その日の夜、基地を島の伝説で語り継がれる生物「呉爾羅(ゴジラ)」が襲撃、敷島と整備兵の橘宗作[青木崇高]以外は全員ゴジラに襲われて死亡する。

 同年冬、東京へと帰ってきた敷島は、隣家の太田澄子[安藤サクラ]から空襲によって両親が亡くなったことを伝えられる。
 敷島は闇市で、彼同様に空襲で親を失った女性・大石典子[浜辺美波]と、彼女が空襲の最中に他人から託されたという赤ん坊の明子[永谷咲笑:子役]に出会い、成り行きで共同生活を始める。

 敷島は米軍が戦争中に残した機雷の撤去作業の仕事に就き、作業船・新生丸艇長の秋津淸治[佐々木蔵之介]、元技術士官の野田健治[吉岡秀隆]、乗組員の水島四郎[山田裕貴]と出会う。
 敷島は彼らに典子との正式な結婚を勧められるが、戦争とゴジラによる被害で心の傷を抱える彼は関係の進展に踏み出せず、典子もそれを察して自立するために銀座で働きだす。

 ある日、敷島たちは作業中の日本近海にゴジラが現れていることを知り、これを新生丸で足止めしろという命令を受ける。体高50メートルへと変貌したゴジラに機銃や機雷で応戦するが効果はなかった。
 そこにシンガポールから帰ってきた接収艦の重巡洋艦「高雄」が到着、砲弾で応戦するが、ゴジラの吐いた熱線によって「高雄」は海の藻屑となってしまう。

 翌朝、東京へと襲撃してきたゴジラは東京湾から品川を経由し、典子が働いている銀座へと向かう・・・
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 CGの進歩というのは実にスゴい。本作のゴジラが漂わせる存在感、恐怖感、そして絶望感は半端ない。ゴジラの吐く熱線の描写も、シリーズ最高級に凄まじく、その破壊力も桁違いのものを感じさせます。
 いったい、こんなのをどうやったら倒せるんだい・・・って観ているほうも途方に暮れそうです。

 それでも何とかしなければならない。しかし時代は終戦直後。いつもならゴジラと戦ってくれるはずの自衛隊はまだ存在していない(前身となる ”警察予備隊” の発足が昭和25年、正式に ”自衛隊” となったのは昭和29年)。それどころか、進駐軍(米軍)による武装解除によって、ろくな武器さえ残っていない。
 ゴジラに対して日本政府は当てにならず、米軍もソビエト連邦とのにらみ合いを理由に、ゴジラに対する武力行使はしないと宣言してしまう。

 そこで本作では、民間人の有志が立ち上がるというストーリーに。
 映画の後半では、彼らによってゴジラ殲滅のための「海神(わだつみ)作戦」が立案されます。荒廃した今の日本に、わずかに残されたものを精一杯かき集めての、乾坤一擲の戦い。ですが成功の確率については、はなはだ心許ない。
 それでも「やれることをやるしかない」と腹を括った者たちの戦いが始まります。もうこのあたりから、涙腺が緩んで仕方がありませんでした。

 この映画には、いわゆるスーパーヒーローは登場しません。第1作の『ゴジラ』(1954)の ”オキシジェン・デストロイヤー” のような超兵器も出てきません。ゴジラに対抗できるような他の怪獣の出現もありません。

 ゴジラと戦うのは人間だけ。それも、名も無い市井の人々ばかりです。でも、彼らは自分の与えられたポジションで、自分のできることに精一杯取り組みます。
 一人一人は小さく弱い存在である人間たちが、知恵を集め、力を合わせて、巨大な災厄を打ち払おうと懸命に足掻き続ける。それがこの映画です。


 キャストについて。

 主人公の敷島浩一を演じるのは神木隆之介さん。”興収ハンター”(笑) と呼ばれてるらしいですね。声優を務めた『君の名は。』(2016)も大ヒットしたし、現代の映画スターの一人でしょう。戦争とゴジラという二重のトラウマで、”自己肯定感ゼロ、生きること自体を放棄しつつある青年” という難役を熱演してます。

 ヒロインの浜辺美波さん。『シン・仮面ライダー』(2023)で演じた緑川ルリ子のクール・ビューティーぶりとは打って変わって、情愛に満ちた大石典子を好演しています。敷島の行動に大きな変化をもたらす存在となっていくのですが、これもまた素晴らしい。
 考えたら、一年の間に『ライダー』『ゴジラ』という日本の誇る特撮コンテンツでヒロインを務めるというのはスゴいことです。ぜひ『ウルトラマン・シリーズ』にも出てもらって ”グランドスラム” を達成してほしいなぁ(笑)。

 この二人はNHKの朝ドラ『らんまん』で夫婦役を演じていて話題になりましたが、私には『屍人荘の殺人』(2019)での共演の方が印象深いですね。なんとこのときは浜辺さん(当時19歳)のほうが神木さん(当時26歳)より年上の役だったという(笑)。
 「敷島と典子には幸せになってほしい」って感じた観客は少なくないはず。観ているだけで応援したくなってくるのは二人の持つキャラクターのせいなのか、『らんまん』効果なのか(笑)。

 元海軍の技術士官で兵器開発に携わっていた野田健治。人はいいけど線が細くて、今ひとつ頼りない。だから彼が立案した「海神作戦」も、なんだか心配だなぁ・・・って思わせるのに、吉岡秀隆という配役はまさにベストチョイスでしょう(笑)。とてもいい味出してます。

 駆逐艦「雪風」の元艦長で、「海神作戦」の指揮を執る堀田辰雄。演じるのは田中美央さん。寡聞にして、この映画を観るまで御名前を知りませんでした。大河ドラマ『どうする家康』に端役で出演されてたみたいですが、本作での田中さんは実に堂々としていて元軍人の貫禄充分。それでいて威圧感や横柄さとは無縁で、寄せ集めの参加者をまとめるリーダーとしての度量を示します。

 観ていて思ったのですが、メインとなる登場人物たちにはそれぞれきちんと役割が振り分けられていて、誰一人欠けてもゴジラは倒せなかったろうし、”あの結末” に辿り着くことはできなかったと思わせます。これは脚本がかなり練り込まれていたということでしょう。

 ネットでの感想を読む限り、概ね好評のようですが、一部には否定的な意見も散見されます。
 でもまあ評価は人それぞれ。70年も続いているコンテンツですからね。100人のゴジラ映画ファンがいれば、「理想のゴジラ映画」も100通り。100人全員に絶賛されるゴジラ映画なんて絶対に作れないのですから。
 では私はどうか。私は本作を、そして ”あの結末” を全面的に肯定します。

 この映画は、ゴジラを倒すストーリーに、全てが灰燼に帰した戦後から立ち上がり、復興に向けて奮闘を開始する日本人の姿を重ねていると思いましたし、さらには大震災やコロナ禍で疲弊しながらも、それでもなお希望を失わずに頑張ろうとする現代の日本人へのエールをも込められていたと思うからです。そして作中でそれをいちばん重く背負っていたのは、他ならぬ敷島でしょう。
 ならば、彼が ”あの結末” を迎えることは必然だったと思います。

 細かいことを言えば、いろいろ解釈の幅がありそうなエンディングですが、そのあたりを含めた詳しい感想と ”ツッコミ” は「ネタバレあり」のほうで。
 今書いてるんだけど、長文になりそうなので前後編になるかな。とりあえず前編は11/22頃にアップしようかと思ってます。


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