Another [読書・その他]
主人公・榊原恒一(さかきばら・こういち)は夜見山(よみやま)北中学校3年3組へと転校する。しかしクラスメイトたちは、なぜか一人の女生徒を執拗に無視し続けていた。彼女の名は御崎鳴(みさき・めい)。不思議な存在感をもつ美少女だった。
やがて恒一と鳴は、3年3組に起こる凄惨な事件に巻き込まれていく・・・
1998年4月。父親の海外勤務に伴い、祖父母のいる夜見山市へやってきた榊原恒一。しかし転居早々、肺を患ってしまい、入院することになってしまう。
転校先の夜見山北中学校への登校は退院後、ゴールデンウィーク明けの5月からになった。しかし恒一は転入先の3年3組の雰囲気の異様さに困惑する。
クラスメイトたちは、なぜか女生徒の一人を執拗に無視し続けて("いない者"として扱って)いるのだ。彼女の名は御崎鳴。左目に眼帯をつけた、不思議な存在感をもつ美少女だった。
彼女に惹かれた恒一は、鳴と接触を試みる。口数が少ない彼女ではあったが、次第に会話ができるようになっていく。
そんなとき、クラス委員の桜木ゆかりが事故死する。そしてそれをきっかけに、クラスメイトやその関係者の間で死者が続出し始める。
それは26年前の "ある出来事" がきっかけだった。それ以来、夜見山北中学校3年3組は "死に取り憑かれて" しまった。
何年かごとに、クラスの生徒や親族などの関係者に、死者が大量に発生するという "災厄" がやってくるのだ。クラスメイトたちが鳴を "いない者" として扱っていたのも、これに関わりがあった。
恒一と鳴は、"災厄" の謎を探り始める。"死の連鎖" を食い止める方法を探して・・・
作家・綾辻行人の代表作のひとつで、メディアミックスで話題となったホラー・ミステリ。文庫版の初刊が2011年の秋で、その頃に一度読んでいるはずだから、12年ぶりの再読となる。
なんで再読したのかというと、近々『Another 2001』が文庫化されるとアナウンスされたから(実はこの文章を書いてるのが 2023/6/13 で、この日が発売日だ)。
手元にはスピンオフ的な続編『Another エピソードS』(文庫版)があったのだけど、これを買ったときには『Another 2001』の雑誌連載が始まっていたと記憶してる。
じゃあ『Another 2001』が文庫になったときに一緒に読もうと思って放置しておいたら、連載がなかなか終わらず(それゆえに文庫化もずいぶん後になって)、ここまで来てしまった、というわけだ。
12年ぶりに再読してみて、相変わらず面白いなぁ上手いなぁ、って思った。何より文章が読み易い。とにかくするすると読める。”この内容” をこういうふうに書けるだけで作者は天才だと思う。
その一方で、驚いたのは内容をかなり忘れていたこと。
全体の設定や序盤~中盤のストーリー(文庫で言うと上巻にあたる部分)はかなり覚えてたのだが、下巻に入ってからは、ほとんど記憶にない展開で、初読みたいな感覚を味わったよ。
当然ながらクライマックスの決着も、"オチ" もすっかり忘れていて、もう一度 "驚く" ことができました(おいおい)。
読者としては楽しめて良かったのだけど、自分の記憶力がいかに当てにならないかを痛感して呆然としてしまいました。
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