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四畳半タイムマシンブルース [読書・SF]


評価:★★★☆

 森見登美彦の小説『四畳半神話体系』の登場キャラと、劇作家・上田誠による舞台『サマータイムマシン・ブルース』のストーリーを合体させた作品。

 アニメーション映画のほうはすでに記事に書いている。詳しいストーリーはそちらを参照してもらうとして、こちらでも簡単に触れておこう。


 主人公の ”私” が下宿している部屋のクーラーのリモコンが壊れてしまう。しかしそこに、未来世界からタイムマシンでやってきたという謎の青年が現れる。

 下宿の住人や友人たち、加えて ”私” と、”私” の憧れの人・明石さんは、そのタイムマシンを使って過去へ向かうことになる。
 1日前に戻って、壊れる前のリモコンを持ってこようという、おそらくSF史上かつてないくらい ”くだらない” 理由で(当事者たちにとっては極めて切実なのだが)タイムトラベルに繰り出す。

 しかし1日前に戻ったはいいが、登場人物が皆、揃いも揃ってエキセントリックな奇人変人ばかりなので、タイムパラドックスなんてお構いなしのやりたい放題をし始める。”私” と明石さんは、その騒動の収拾のために大わらわになる、というコメディだ。若さ、そしてバカさ溢れる青春物語でもある。


 先に映画の方を見たのだけど、とにかく台詞が多くて、しかもみんな早口。まあ理解できないわけではないけど、一部ついていけないところもあった。
 タイムトラベルにつきものの、作品中でのイベントが起こった時系列問題もそうだ。観ている時にはあまり感じなかったのだけど、これは見せ方が上手いのだろう。でも、改めて考えるとけっこう複雑だったりする。
 まあ、そういう ”答え合わせ” 的な意味合いもあって、小説版を読んでみたわけだ。

 基本的に、映画と小説で大きく異なるところはない。映画のノベライズみたいな位置づけかと思うが、そこは本職の作家さんだから、しっかり小説作品として仕上がってると思う。
 マシンガンのような台詞もじっくりも味わえたし、各キャラの位置づけや性格もよく分かった。主人公と明石さんの関係性の変化も、映画よりも深く感じられたように思う。彼女みたいなキャラ、大好きだなぁ。



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