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大河への道 [映画]


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 ではまず、あらすじから。

 千葉県香取市役所の職員・池本[中井貴一]は、地域観光の目玉として郷里の偉人・伊能忠敬を主人公とした大河ドラマ誘致を提案、採用される。プロジェクトは始動し、手始めに脚本を大物脚本家・加藤[橋爪功]に依頼することとなった。

 始めは乗り気でなかった加藤も伊能の人生に興味を持ち、資料を調べ始める。しかしそこで明らかになったのは、「伊能忠敬は『大日本沿海輿地全図』を完成させる3年前に死去していた」という事実だった・・・。

 ここから、映画は現代と幕末を行き来する。

 1818年の江戸。幕府に仕える天文学者・高橋景保[中井貴一・二役](忠敬が師事した天文学者・高橋至時の長男)は、伊能の弟子たちから師匠の死を3年間秘匿し、その間に地図作りを続けさせてほしいと懇願される。困惑した髙橋だが、紆余曲折を経て彼らの ”陰謀” に加担することに。

 幕府を欺いて公金を拠出させていることが露見すれば死罪は免れない。かくして一蓮托生となった高橋と伊能組一同は、伊能の死を偽装しながらお上からの追及をのらりくらりかわしてゆく。

 しかし、いつまでたっても地図は完成せず、顔も見せない伊能をいぶかしんだ勘定方は、高橋の周辺を調べ始めるのだが・・・


 落語家・立川志の輔の創作落語「伊能忠敬物語―大河への道―」が原作だとのこと。この落語に惚れ込んだ中井貴一が映画化を思い立ったらしい。

 「伊能忠敬物語」と銘打ってあるけれど、物語の冒頭で忠敬は逝去してしまうので、本編には登場しない。代わって、綿貫善右衛門[平田満]を筆頭とした、日本地図完成を悲願とする忠敬の弟子たちがメインとなる。
 最初は伊能の死を秘すことに反対していた高橋景保も、彼らの熱意に打たれ、やがてはすすんで協力するようになっていく。

 とにかく、地図作成というのは文字通り ”地を這う” ような地道な作業を延々と繰り返すこと。人間の歩幅で距離を測り、角度を測り、それを積み上げていくという気の遠くなるような手順。映画の中でそれはふんだんに描写される。
 現在のような精密な測量方法の無かった時代に、これほどの手間暇をかけなければ地図が作れなかった、いやこんなアナログ極まりない方法にも関わらず、正確無比な地図を作り上げたことに驚嘆させられる。

 しかし、ひとたび伊能の死が明るみに出れば、彼らはみな死罪となるかも知れない。彼らの行動の一部始終を目撃していた高橋景保の ”ある決断” が映画のクライマックスとなる。

 落語がベースであるから、基本的にはコメディなのだけど、”爆笑コメディ映画” という雰囲気ではない。どちらかというと ”人情もの” 寄りの映画になってると思う。実際、完成した伊能地図を将軍に披露するシーンは、けっこう感涙ものだ。

 中井貴一は『記憶にございません!』でも抜群のコメディアンぶりだったが、本作でも安定の演技。その相棒を務める松山ケンイチもいい味を出してる。考えたらこのコンビ、どちらも大河ドラマの主役を張ってるんだよね。

 役場の職員と忠敬の元妻の二役を演じた北川景子もいい。けっこうコミカルなシーンもあるので、ぜひ本格的なコメディ映画で主演してもらいたいな。
 それにしても彼女は綺麗だね。どのシーン、どのカットを見ても隙が無く綺麗だ。つくづく素晴らしい女優さんだと思う。


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