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計画結婚 [読書・ミステリ]

計画結婚 (徳間文庫)

計画結婚 (徳間文庫)

  • 作者: 白河三兎
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2019/06/11

評価:★★☆

久曽神静香(きゅうそじん・しずか)は、モデル体型の超絶美人。
高校生の頃から芸能界へのスカウトは引きも切らず、
男たちの視線を一身に集め、女性からの嫉妬も一身に集めてきた。

そんな静香も33歳となり、ついに結婚することになった。
定員600人の客船を借り切り、80人の招待客を乗せて横浜を出港、
洋上結婚式を行うのだ。

その結婚式で、同じテーブルに着くことになった
6人の男女を中心に物語が展開する。

新婦側の招待客には佐古怜美、桜田祐介、富永仁。
新郎側の招待客には小暮宏、高原満男、三谷信之助。

彼らはみな、新婦の静香に対して、あるいはこの結婚式に対して
”腹に一物” を抱えていた。本書は全五章からなるが、
各章はそれぞれ異なる招待客の視点から語られる、
連作短篇となっている。

「第一章 メランコリック・ダブルデート」では
怜美による静香の高校時代のエピソード。
「第二章 ハッピー・メイストームデー」では
祐介による卒業後の話となるので、時間軸に沿って語られるかと思いきや、
高原が語る「第三章 マリッジ・トラップ」では意外な展開を見せ、
新郎の驚くべき正体が明らかになる。

「第四章 エンディング・リング」では、
富永とその妻・美登里の物語が綴られる。
ネタバレになるので詳しく書けないが、夫婦のあり方を考えさせられる、
本書で一番 ”重い” エピソードだろう。

そして「第五章 ピンチヒッター・ウェディング」では、
披露宴の最中に、次から次へと予想外の展開が続発し、
それまでの四つの章で張られた伏線がまとめて回収されて
一気に大団円へとなだれ込む。

第一章の冒頭からは、こんな結末はまず予想できないだろう。
作者のストーリーテリングの巧みさはスゴい。

でも、星の数が今ひとつなのは、キャラのせいかな。

まず主役たる静香さん。悪い人ではないのだけど
強烈すぎる個性がギラギラしていて、
ちょっと見ているのが(読んでるのが?)辛い。

静香さんの高校時代からの親友・怜美(れいみ)さん。
彼女もある意味、静香さんの ”被害者” なのだけど
それでも親友であり続けるところが健気。

そんな彼女の作中での扱いが、あまりにも報われないのも
ポイントを下げた理由(まあ、いちばん悪いのは祐介なんだが)。
もっとも、ラスト2ページの展開がちょっぴり救いになってるけど。

私はキャラに入れ込むタイプなので、
気に入った登場人物が報われないと、評価が下がってしまいがち。

最後にもう一つ。
文庫版表紙のデザインが実に秀逸。
読み終わってから、改めて眺めてみるとよく分かる。


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