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火災調査官 [読書・ミステリ]

火災調査官 (創元推理文庫)

火災調査官 (創元推理文庫)

  • 作者: 福田 和代
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2018/05/11
  • メディア: 文庫
評価:★★☆

目黒区の空き家で放火事件が発生し、
現場からは犯人の遺留品と思われる絵画が見つかる。
それはダ・ヴィンチの『岩窟の聖母』の一部を模写したものだった。

やがて都内で同じ手口の放火が連続して発生し、
いずれも現場には同じ絵が残されていた。
しかもその絵には、毎回異なる百人一首の句が書き込まれていた。

東橋消防庁の火災調査官・東孝司(あずま・たかし)は
放火事件の調査を続けていくうちに
絵に書かれた句は次の放火場所を暗示しており、
放火の被害者は皆、かつて乗っ取り被害に遭ったホテルの
関係者であることを突き止めるが・・・

東は有能な調査官だが、心の底では ”炎の美しさ” に
魅せられているという、ある種の ”闇” を抱えたキャラ。

彼と対照的なのが、もう一人の主人公ともいうべき白木亮介。
こちらは正義感とファイトに溢れた、いわば ”正統派” の消防士だ。

とは言っても、この二人がタッグを組むバディものではない。
実際二人はほとんど別行動で、お互いのパートが並行して語られるのみ。

東の抱えた ”闇” についても、それが彼の行動を決める
決定的な因子となることはなく、最後まで彼の心の底に沈められたまま。

彼の心の闇を理解してくれるかも知れない、幼馴染みの女性との
再会も描かれるが、こちらも進展はすることなくそのまま。

私が思うところの、もっと面白くなりそうな要素はあるのだけど、
それは大きく展開することなく進んでいってしまい
ちょっともったいない気がする。

ちょっとネタバレになるが、終盤になって
真犯人には協力者がいることが明かされるのだが
なぜ協力する(協力できる)のかが今ひとつ私には理解できなかった。

まあ、私の読み方が悪い(私の理解力が足りない)のかも知れないが・・・

消防士という職業の実態を描き出す ”お仕事小説” としては
よくできてると思うし、防火という仕事に従事されている方の苦労は
読み手に十分伝わってくるだろう。

ただまあ、私の期待するミステリとしての面白さは
ちょっと足りなかったかな・・・と思った次第。


nice!(4)  コメント(4) 
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コメント 4

mojo

鉄腕原子さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2020-10-31 03:36) 

mojo

@ミックさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2020-10-31 03:36) 

mojo

サイトーさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2020-10-31 03:36) 

mojo

31さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2020-10-31 03:37) 

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