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卯月の雪のレター・レター [読書・ミステリ]

卯月の雪のレター・レター (創元推理文庫)

卯月の雪のレター・レター (創元推理文庫)

  • 作者: 相沢 沙呼
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2016/03/20
  • メディア: 文庫
評価:★★★

ノン・シリーズの短編集。
”日常の謎系ミステリ” であることは同じだが。

「小生意気リゲット」
両親を喪った ”私” は、就職と同時に叔父の家を出て
妹のシホを引き取り、二人暮らしを始めた。
しかし高校生となったシホの様子が最近おかしい。
”私” に対して辛く当たるようになったし、
帰りは遅いし、香水の匂いをさせるようにもなってきて・・・
感想を書くとそのままネタバレになりそう。

「こそどろストレイ」
サキと加奈は、友人・百織(しおり)の家に遊びに行くが、
その家の蔵から高価な花瓶が姿を消してしまう。
昨夜は雪で蔵の周りに怪しげな足跡は無い。
密室からの消失事件なのだが、このオチはなあ・・・
まあミステリだからね、欺される方が悪いんだが
ちょっと脱力しました。

「チョコレートに、踊る指」
事故に遭って入院中の友人・ヒナを見舞いに行く ”私” ことスズ。
入院が長引き、次第に友人たちから忘れられていくことを恐れるヒナ。
そんな彼女を複雑な気持ちで眺めながら、会い続けるスズ。
そのスズは、ヒナに対してある ”秘密” を抱えていた・・・
女性同士の友情というのは私にはよく分からないのだが
作者は男性のはずなのに、よくここまで書けるものだなぁ。
それが作家さんというものなのだと言えばそれまでだけど。

「狼少女の帰還」
三枝琴音(さえぐさ・ことね)は小学校で3週間の教育実習に臨んでいる。
佐伯咲良(さくら)は、彼女が受け持つクラスの問題児だ。
しょっちゅう教室を抜け出しては校庭で遊んでいる。
担任の坂下も匙を投げたのか、放置しているようだ。
咲良と話した琴音は意外なことを聞く。
同級生の坂下まいなの家に遊びに行ったとき、
家政婦が盗みをする場面を目撃した、と。
しかし咲良の普段の言動を見ているクラスメイトたちは信じない。
悩んだ琴音は先輩の研究生・稲村禎孝(よしたか)に相談するが・・・
最近、小学校教員のなり手が減っているらしいが
琴音のような人にはぜひ教壇に立ってほしいものである。
安楽椅子探偵ぶりを発揮する稲村のキャラも面白い。
シリーズ化されないかなぁ。

「卯月の雪のレター・レター」
高校生の小袖(こそで)は、母方の祖母の七回忌に出るために
祖父が暮らす母の実家へと向かう。そこで小袖は
つい先日、祖父のもとへ死んだ祖母から手紙が届いたことを聞く。
どうやら結婚前の頃のラブレターらしいのだが、
二人は別れようとしていたような文面に小袖は驚く。
いったい、二人に何があったのか。
そして、50年以上前に書かれた手紙が、
祖母の死後6年も経って届いたのはなぜなのか・・・
わかってしまえば不思議ではないオチなのだが
それをミステリに仕立ててしまうのが上手いというべきか。
小袖の祖父と祖母が結婚したのは、おそらく
昭和30年代あたりじゃないかと思う。
私の両親とほぼ同世代か。私の父と母が結婚した経緯を思い返してみても、
今とは懸け離れた状況だったなぁ。そういう時代だったのだろう。
作中、小袖が祖母の名前を忘れていて焦るシーンがあるのだが
そういえば私も祖母の名前は思い出せない(おいおい)。
まあ言われてみれば思い出すのだろうが。
こんど母に会ったら聞いてみようかなと思ったが
呆れた顔をされそうでちょっと躊躇ってしまうなぁ・・・

nice!(4)  コメント(4) 
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コメント 4

mojo

鉄腕原子さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2020-10-28 00:30) 

mojo

@ミックさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2020-10-28 00:31) 

mojo

サイトーさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2020-10-28 00:31) 

mojo

31さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2020-10-28 00:31) 

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