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大神兄弟探偵社 [読書・ミステリ]

大神兄弟探偵社 (新潮文庫nex)

大神兄弟探偵社 (新潮文庫nex)

  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2014/10/28
  • メディア: 文庫
評価:★★★☆

東京都葛西にある、臨海現代美術館から1枚の絵画が盗まれる。
現代アートの巨匠が描いた抽象画で、資産価値は約20億円。

2人の警備員は睡眠薬で眠らされ、敷地内には一人の女性が倒れていた。
彼女は美術館で働く学芸員・直江百合で、
後頭部を殴打されていて、事件直前の記憶を失っていた。

警察は百合を犯人グループの一人とみており、
彼女の負傷は仲間割れによるものと考えていた。そのため
百合の妹で大学生の麻耶は、連日マスコミから追い回されていた。

麻耶の恋人である城戸友彦は、百合の容疑を晴らすために
ネットで見つけた探偵社に依頼することにした。
それがタイトルにある「大神(おおかみ)兄弟探偵社」だ。

依頼料はなんと3000万円。しかし学生の友彦にそんな金はない。
しかし探偵社の主・大神鏡市(きょういち)は、友彦が3年間、
自分のもとでタダ働きすることを条件に依頼を受けることを決める。

鏡市とともに捜査を開始した友彦は、美術館の館長・高島のもとへ行くが
そこで宇佐美という画商と出会い、衝撃を受ける。

16年前、3歳だった友彦は何者かに誘拐され、
ピエロの面をつけた男に虐待を受けたというトラウマがあった。
あのときの仮面の男こそ、この宇佐美だと直感したのだ。

宇佐美は超高層ビルの最上階に自宅を構え、屈強な配下を複数抱えるなど
一介の画商とは思えない財力・政治力を有している。
どうやら、闇の世界での美術品流通に関わる悪徳ブローカーらしい。

盗まれた絵は宇佐美の自宅にあると睨んだ鏡市は
ヘリコプターを使った潜入計画を立て、友彦もそれに参加するのだが・・・

物語の早い時期に黒幕が明らかになり、
後半は盗まれた絵を巡る宇佐美と探偵社の対決がメインとなる。

中盤での高層ビル最上階での対決シーンは、
高所恐怖症な人なら、読んでいてクラクラしてしまうだろう。

ところが、そちらが決着した後に実はもう一幕あって、
そちらでは16年前の誘拐事件に端を発するすべての事象についての
謎が解き明かされ、アクションものから本格ミステリに移行する。

登場するキャラクターもいい。

探偵社主・大神鏡市は ”頭脳担当”、
その双子の弟・辰爾(たつじ)は ”人脈担当”。幅広い情報網を持ち、
車はもちろんヘリの操縦もこなす、鏡市の ”足” でもある。

彼らと共に住む少年・雨宮黎(れい)は ”技術担当”。
手先が器用で、毛色の変わった武器を創り出す。
「007」のQみたいなものかな。

そして友彦は ”体力担当”。
パルクールが得意な大学1年生で、肉体労働を受け持つ。
本書でも、宇佐美の自宅へ潜入して絵の探索を行う役回り。

 ちなみにパルクールとは、「走る・跳ぶ・登る」といった
 移動所作に重点を置く運動を指し、障害物があるコースを
 自分の身体能力だけで滑らかに素早く通り抜ける
 アクロバチックかつダイナミックな競技・・・のようだ。
 YouTubeには動画が上がってるのだけど、
 いやはや、命知らずな人というのはいるんだねぇ。

特殊技能に秀でた4人組が活躍するさまは
「ミッション・インポッシブル」のような、
「特攻野郎Aチーム」のような。

巨悪を眠らせない鏡市の姿を見てると「ザ・ハングマン」
(分からない人はwikiを見てねwww)のようでもあり。
痛快なサスペンス・アクション小説だ。

本書はシリーズ化されていて、いまのところ3巻まで出ている。
2巻目も読み終わっているので近々記事を載せる予定。

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コメント 3

mojo

鉄腕原子さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2020-10-28 00:32) 

mojo

@ミックさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2020-10-28 00:32) 

mojo

31さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2020-10-28 00:32) 

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