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ココロ・ファインダ [読書・ミステリ]


ココロ・ファインダ (光文社文庫)

ココロ・ファインダ (光文社文庫)

  • 作者: 相沢 沙呼
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2014/10/24
  • メディア: 文庫
評価:★★☆

高校の写真部に籍を置く4人の女子高生。
2年生のミラ・カオリ・シズ。そして1年生の秋穂。
それぞれを主役とした ”日常の謎” ミステリの連作短編集。

「コンプレックス・フィルタ」
語り手はミラ。この愛称は彼女の本名・”鏡子” から来てるらしいが
自分の容姿に自信が無い彼女は、鏡を見るのが嫌いだ。
それに対してカオリはかなりの美人で、
カメラを向けるとモデル並みに素晴らしい表情を連発する。
そのカオリが部活動に顔を見せなくなった。
どうやらシズと仲違いしたらしい。
写真部の中で最もカメラの腕が確かなシズ。
そのシズが撮ったカオリの写真に原因があるらしいのだが・・・

「ピンホール・キャッチ」
語り手の秋穂は、コンプレックスの塊のような少女。
友人とのコミュニケーションも上手くとれず、
やることなすこと鈍くさい。
その劣等感ゆえ、父親との関係もうまくいっていない。
そんなとき、ミラの持っていたSDカードに謎のデータが見つかる。
「works」というそのフォルダの中には、
校舎内外の壁という壁が撮影された写真データが・・・

「ツインレンズ・パララックス」
語り手のカオリは、4人の中でいちばんの美少女。
ある日彼女は、同級生の男子・松下からコクられる。
彼は同じ中学校の出身で、かつてはカオリ自身も彼に思いを寄せていた。
しかしカオリは松下に平手打ちを喰らわせ、撃退してしまう・・・

「ペンタプリズム・コントラスト」
語り手のシズは、裕福な家庭に育った優等生。
幼い頃から英語とピアノを習い、PCも早いうちから与えられ、
小学校高学年からは家庭教師までつけてくれた。
高校生となった今は、両親から ”いい大学へ入る” ことを期待され、
日々、予備校に通う生活を送っている。
しかし、彼女は胸に期するものがあった。
中学生の時に叔父から教えてもらったカメラによって
彼女の世界は大きく変わっていった。
いつしかプロの写真家を目指すことを決めたシズは
芸術学部への進学を考えるようになるが、
写真なんてしょせん ”遊び” に過ぎないと考える両親には
自分の思いを打ち明けられずに、悶々としている。
そんなある日、文化祭で展示した写真を整理していたシズは、
その中で1枚だけ、赤茶色に ”日焼け” しているものを見つける。
すべて写真屋に現像とプリントをしてもらったはずなのに、
1枚だけインクジェットプリンタで印刷されたものが混じっていたのだ。
それは、夜の公園で赤い傘を差したカオリが写ったものだった・・・


日常の謎系ミステリではあるのだけど、それよりも
羨望、妬み、抑圧など、閉鎖されてストレスが充満しがちな
学校生活の中を生きる少女たちの姿を描くことの方に重点がある。

友人・家族・異性など、人間関係が大きく変化していく高校時代。
作者の描く、4人の少女たちが悩み葛藤する姿が
私にはとてもリアルに感じられた。

ちなみに文庫判の表紙イラストの少女はカオリさん。
首から提げている二眼レフカメラは、
写真部顧問の戸嶋先生から借りたもの。

nice!(4)  コメント(4) 

nice! 4

コメント 4

mojo

鉄腕原子さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2020-04-19 00:31) 

mojo

@ミックさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2020-04-19 00:31) 

mojo

31さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2020-04-19 00:31) 

mojo

サイトーさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2020-04-19 00:32) 

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