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春から夏、やがて冬 [読書・ミステリ]


春から夏、やがて冬 (文春文庫)

春から夏、やがて冬 (文春文庫)

  • 作者: 歌野 晶午
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2014/06/10
  • メディア: 文庫
評価:★★

スーパーマーケットの保安責任者・平田は
万引き犯の末永ますみを捕まえる。
いつもなら警察に引き渡すのだが、彼女の免許証に書いてあった
生年月日を見た平田は、彼女をそのまま解放する。

7年前、平田の娘・春夏(はるか)は死んだ。轢き逃げだった。
警察の捜査も、妻とともに行った情報提供を求める運動も虚しく
事件は時効を迎えてしまう。
やがて妻は心を病み、平田は家庭をも失ってしまう。
娘の死に対して自責の念に苛まれる平田は仕事への情熱も失い、
自ら系列会社のスーパーの保安部長へと異動していった。

末永ますみは高校を中退、その後務めていたスナックをクビになって
いまはリョウというDV男と同棲中だった。

彼女は、春夏と同年の生まれだった。
万引きを見逃したことをきっかけに、
ますみは平田の前にしばしば現れるようになる。

ますみを邪険に扱う平田だったが、困っている様子は見捨てておけず
何かと世話を焼くようになっていく。

ふたりは擬似的な親子関係のような状態になっていくのだが
周囲はそれを ”男女の関係” であろうと邪推する。
しかし平田はそれを一向に意に介さない。
そんな中、ますみは平田の過去を知ってしまう・・・

そして、ページ数で残り1/4ほどのところで
事態は急展開を告げるのだが・・・


起こる事件自体は単純なんだが、
その背後に隠された ”真相” は二転三転する。

まず平田の境遇が悲惨の一語だ。
これほど不幸で、先の展望が見えない主人公も珍しいだろう。
ますみも幸福とはお世辞にもいえず、こちらも薄幸な娘だ。

そんな二人が出会うことによってこの物語が動き出すのだが、
最後まで読み終わってみると虚しさ、やるせなさが残るばかり。

ミステリとしてはよくできているとは思うが、
読み終わってどどーーんと落ち込んでしまうのは辛い。

ユーモアミステリでもない限り、犯罪を描く以上は
ある程度の闇を描かざるを得ないのは十分承知なのだけど
ここまで悲しい読後感をもつ作品は苦手です。

nice!(6)  コメント(6) 
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コメント 6

mojo

xml_xslさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2019-07-27 23:01) 

mojo

はじドラさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2019-07-27 23:02) 

mojo

鉄腕原子さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2019-07-27 23:02) 

mojo

@ミックさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2019-07-27 23:02) 

mojo

muiさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2019-07-27 23:03) 

mojo

サイトーさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2019-07-28 21:53) 

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