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純喫茶「一服堂」の四季 [読書・ミステリ]

純喫茶「一服堂」の四季 (講談社文庫)

純喫茶「一服堂」の四季 (講談社文庫)

  • 作者: 東川 篤哉
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2017/04/14
  • メディア: 文庫
評価:★★★☆

古都・鎌倉の片隅でひっそりと営まれている喫茶店「一服堂」。
店主のヨリ子さんはメイド服に身を包み、極度の人見知りと
萌え要素の塊なんだが、推理力は抜群。
客が持ち込んできた謎を聞きつけると人格が切り替わって
毒舌のマシンガン・トークを繰り出してくる。

【第一話】春の十字架
週刊誌記者・村崎蓮司(れんじ)は、遠縁の緑川静子からある依頼を受ける。
資産家の夫・隆文が浮気相手を自宅の離れに連れ込むらしい。
その証拠をつかんで欲しいと。緑川邸に泊まり込んだ蓮司だが
翌朝、隆文が死体となって発見される。
密室内で、しかも十字架に架けられた状態で。
たまたま路上で出会った神奈川県警の刑事・夕月茜とともに
「一服堂」を訪れた蓮司のまえで、
ヨリ子は密室と十字架の謎を解き明かす。
「いくらなんでも、殺人犯がそこまで手間はかけないだろう」
とは思うが、この作者お得意のユーモア・ミステリ世界では
許せてしまうのはやはり上手い。

【第二話】もっとも猟奇的な夏
広大な農地を所有する地主・中園勘次が殺される。
死体は全身に傷を負い、胸を刺され、さらには納屋の柱に磔にされていた。
犯行時刻と思われる時間帯に現場へ出入りした人物は3人。
果たしてこの中に犯人はいるのか?
タイトルに違わず、犯人の大胆な行動に驚く作品。
ディクスン・カーの某短編をちょっと思い出した。

【第三話】切り取られた死体の秋
人気作家・東山敦哉の秘書兼愛人・中原冴子が殺される。
住んでいたアパートの浴室で発見された死体には、
頭部と両手首が切り取られていた。
そして第一容疑者である東山には、鉄壁のアリバイがあった・・・
トリックには既視感があるけど、他の要素を組み合わせて
面白く仕立ててあると思う。

【最終話】バラバラ死体と密室の冬
一人暮らしの岡部健二が殺される。
さらに浴室からは健二の兄・健一のバラバラ死体が発見される。
現場となった健二の家は内部から施錠された密室状態にあった・・・
いやはや、謎解き部分を読んだときの脱力感は半端ない。
これはミステリ史上最も○○な密室トリックだと言っても
文句を言うヒトは少なそうだ。それくらいものすごく○○なんだもん。
最終話だけあって、第一話から第三話までのキャラが再登場して、
まさにカーテンコール状態。
しかしそのあとにもう一つサプライズが待っている。
いやあこれはびっくり。

探偵役のヨリ子さん。作中ではフルネームが明かされているんだが
これも人を食ったネーミング。
実はこれが本書最大のサプライズかも知れない。

けっこう残虐で猟奇的な事件を、ユーモアのオブラートで包んで
読ませる技量はやっぱり流石だと思う。

nice!(3)  コメント(3) 
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コメント 3

mojo

xml_xslさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2019-01-29 20:05) 

mojo

@ミックさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2019-01-29 20:05) 

mojo

鉄腕原子さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2019-01-29 20:05) 

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