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臨機巧緻のディープ・ブルー [読書・SF]


臨機巧緻のディープ・ブルー (朝日ノベルズ)

臨機巧緻のディープ・ブルー (朝日ノベルズ)

  • 作者: 小川一水
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2013/10/18
  • メディア: 単行本
評価:★★★

人類が超光速航法を手に入れた未来。
(人類にとって)凶悪な異星生物との接触した経験から、
未知の星系の探査隊には軍艦が同行することになった。

その調査艦隊(通称『ダーウィン艦隊』)の一つに
カメラマンとして乗り込んだのが
主人公である石塚旅人(イシヅカ・タビト)だ。

その艦隊が到達したある星系。艦隊司令によって
〈カラスウリ〉と命名された星系にはすでに先客がいた。

表面の99%が海洋の「ディープ・ブルー」と名付けられた
第二惑星の周回軌道上に異星人の戦闘艦隊を発見したのだ。

異星人に対してコミュニケーションを試みる人類艦隊。
その結果、相手は鳥類から進化した生物であり、
自らを「バチス・シュワスフィン族」と名乗っっていること。
そしてディープ・ブルーの現住種族である「ルイタリ族」を
不当に圧迫しているらしいことが判明。

人類艦隊司令・コーサカは、ルイタリ族と直に接触することを決定する。
フリゲート艦(小型駆逐艦)での上陸部隊が組織され、
それにタビトも加わることになる。

上陸部隊はルイタリ族との接触に成功し、彼らは人間でいうところの
”人魚” に相当する形態を持つ水棲生物であることが判明する。

タビトは、ルイタリ族のことをもっと知るために
部隊を抜け出し、着陸地の近くにある謎の塔に潜入する。
そこで出会ったのは、〈聞き耳のヨルヒア〉と呼ばれるルイタリ族の少女。
彼女はなぜか同族たちによって幽閉されていたのだ・・・


ファースト・コンタクトものなのだけど
地球の大航海時代に、植民地を巡って
ヨーロッパの国々が争ったような状況を
未来に移し替えたような設定なので、「2001年」みたいな難解さは皆無。

もちろん本作はそれだけの内容にはとどまらず、
人類と鳥類型異星人とのコミュニケーション成立の過程、
水棲生物ルイタリ族の生態、そして両族のもつ独自の文化も
(ページ数の制約もあるのだろうが)十分SFらしく描き出している。

一方、二つの艦隊は一触即発の状態にあり、
一手間違えると全面戦争に突入する危うさもある。

後半に入ると、タビトはヨルヒアとともに
開戦を回避するために行動していく。
それに伴い、バチス・シュワスフィン族の指揮系統、
ルイタリ族が隠し持つ秘密など意外な事実が明かされていく。

ちなみに人類艦隊の戦闘指揮は人間が行っているが、
それをAIが補佐している。
さすがにこちらは某アニメのように
人間を差し置いて指揮権を奪おうとはしないが(笑)。

そして、主人公の次にセリフが多いのが、
タビトの持つカメラに内蔵されたAIとくる。
ちなみにこのAIには〈ポーシャ〉という愛称までついていて、
これがまた若い女性の声で喋る喋る(笑)。
これも時代なのかもねえ・・・

もちろん、3種も知的生物がいるのだから生身のキャラも多数登場する。
なかでも、飄々としてるようで結構したたかな
人類艦隊のコーサカ調査指令がいい味を出してる。

タイトルにある「臨機巧緻」って何のことだろうと思ってたんだが
読み終わってみるとたしかに「臨機巧緻」だったなあって思う。
どこがどうとはネタバレになるので書かないけど。

本作はシリーズ化されてるみたいで、
タビトが登場する長編がもう一冊手元にある。
これも近々読む予定。

nice!(4)  コメント(4) 
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コメント 4

mojo

xml_xslさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2018-11-27 20:53) 

mojo

@ミックさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2018-11-27 20:53) 

mojo

鉄腕原子さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2018-11-27 20:53) 

mojo

31さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2018-11-27 20:54) 

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