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探偵の誇り 日本推理作家協会受賞作家傑作短編集 [読書・ミステリ]


探偵の誇り-日本推理作家協会賞受賞作家 傑作短編集(6) (双葉文庫)

探偵の誇り-日本推理作家協会賞受賞作家 傑作短編集(6) (双葉文庫)

  • 作者: 泡坂 妻夫
  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 2018/06/13
  • メディア: 文庫
評価:★★★

日本推理作家協会賞を受賞した作家さんによる短編アンソロジー。
長い歴史を持つ団体なので、”歴史的な” 作家さんも多い。

読んでみて驚いたんだけど、本書は
発表年代がかなり古いものが集められてるみたい。
参考までに、タイトルの前に書いた西暦が発表年。
一番古いもので66年前。私はまだ生まれてない。
一番新しいものでも38年前。私はまだ学生だったなぁ。

考えてみれば、最初のミステリ体験である
「怪人二十面相」との邂逅から数えれば、
私も半世紀くらいミステリとつきあってる計算になる。
おお、なんだかすごいぞ私(笑)。

本書に収録されてる6作品のうち、4作は読んでる(はず)なんだが、
どれも内容を全くと言っていいほど忘れていたのには参った。
いくら読んでも忘れてしまってはねえ・・・
まあ、”新鮮な気持ちで読める” というメリットはあるか・・・


1980「天井のとらんぷ」泡坂妻夫
都内で、天井にトランプのカードを張り付ける ”遊び” が大流行する。
梯子も脚立も使わずに貼り付けるからくり自体は単純なんだが、
都内のスナックバーで起こった殺人事件の現場でも
天井に貼り付けられたカードが発見される。
どうやら被害者のダイイングメッセージらしいのだが・・・
これは変わったタイトルなので覚えてた。
読んだ記憶はあるんだが内容はさっぱり覚えてない。
泡坂妻夫って、1987年に綾辻行人が登場するまでの
”本格不遇の時代” に、一所懸命に本格ものを書いてた人ってイメージ。

1953「正午の殺人」坂口安吾
人気作家・神田兵太郎の死体が発見される。
自殺とも他殺ともとれる状況だったが、当日の正午すぎまでは
兵太郎の生存が確認されており、容疑者たちには犯行は難しかった・・・
有名な某海外作品にも先行例があって、
今となっては手あかのつきすぎたトリックかなぁ。
初読のはずなんだが、読んでいてすぐに見当がついてしまう。
長編「不連続殺人事件」で活躍した探偵役・巨勢(こせ)博士が登場する。
そういえば「不連続-」は、私が唯一、論理的に考えて
犯人を当てることができたミステリだったなあ・・・(遠い目)。

1952「紫の恐怖」高木彬光
弘前の旧家・藤森家の長男と次男が続けて謎の急死を遂げる。
医師の診断は心臓麻痺だったが、長男の妻は神津恭介に調査を求める。
当時としては斬新だったかも知れないけど
今となっては陳腐なトリックになってしまった。
この時代だからこそ成立する犯罪で、現代で使ったら噴飯物かも。
もちろん作者に罪はない。すべては時の流れのせいか・・・
高木彬光は私が高校の頃から大学にかけてたくさん読んだし、
神津恭介が登場する作品なのでたぶん間違いなく読んでるはずなんだが
覚えてないんだよねえ・・・

1969「崩れた直線」陳舜臣
神戸の中華料理店で働く青年・衣笠健次のもとに、
相次いで高校時代の同級生二人が訪れる。
一人は東京の大学院で学んでいる遠山修平。
もう一人はカメラマンの徳村進。その徳村が健次の部屋で怪死する。
文庫で約90ページと本書中最長。とはいうものの
学生運動とかダイイングメッセージとかいろんな要素が散らばってて
今ひとつ見通しが悪いかなあ。犯人当ての要素も薄いし。
この作品も初読のはず。
この人は、乱歩賞をもらったデビュー長編と、
あと短編を何作かしか読んでない。

1962「暗い日曜日」仁木悦子
主人公・悦子は、自宅近くにある八幡様の鎮守の森で
文学者・館岡の死体を発見する。
被害者の服の袂から見つかった予定表のメモには
「夜 紫式部」という謎の文字が・・・
悦子の兄で、大学で植物学を専攻する雄太郎が
意外な犯人と意外な動機を導き出す。
仁木兄妹シリーズは大好きなので、ほとんど読んでるはず。
これもタイトルはしっかり覚えてたんだけど内容は・・・

1957「霧の中の女」横溝正史
霧深い夜の銀座、宝飾店『たから屋』に現れた女は
宝石の持ち逃げを謀り、店員の牧野はその後を追う。
しかし女は牧野を刺殺し、霧の中に消えていった・・・
金田一耕助ものなんだが、舞台が銀座というのは似合わないかなぁ。
横溝ブームのころ、角川文庫で出た作品はほぼ全巻読破した。
これも間違いなく読んでるはずなんだが、さっぱり覚えてない。
何せ40年くらい昔だからなあ・・・


現代の視点から見たら、いささか時代遅れを感じさせるものも
あるのだけど、それを上回ったのは ”懐かしさ” だったなあ。

捜査技術が(現代の基準からすれば)未熟で、
アラだらけのトリックでも通用した時代、
そしてそれを十分に楽しんでくれる、スレてない読者がいた時代。
自分もその一人だったんだなあ・・・

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コメント 4

mojo

xml_xslさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2018-11-08 01:35) 

mojo

@ミックさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2018-11-08 01:35) 

mojo

鉄腕原子さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2018-11-08 01:35) 

mojo

31さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2018-11-08 01:36) 

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