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水戸黄門 天下の副編集長 [読書・歴史/時代小説]


水戸黄門 天下の副編集長 (徳間時代小説文庫)

水戸黄門 天下の副編集長 (徳間時代小説文庫)

  • 作者: 月村 了衛
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2018/06/08
  • メディア: 文庫
評価:★★★

『大日本史』(国史)編纂に邁進する前水戸藩主・徳川光圀(みつくに)。
日本各地の名だたる学者たちへ執筆を依頼したものの、
期限を過ぎても原稿を納めない者が続出し、編纂作業は滞るばかり。
業を煮やした光圀は、ついに自ら原稿の取り立てに臨むことを決意する。

自らは書物問屋の隠居に身をやつし、お供に連れゆくは
水戸彰考館(しょうこうかん)総裁・安積覚兵衛(あさか・かくべえ)と
国史編集顧問の佐々介三郎(さっさ・すけさぶろう)、
妖艶な美女にして実は ”甲賀のくノ一” でもある鬼編集長・お吟(ぎん)。
そして光圀一行に危機迫るとき、颯爽と現れる ”風車の男” ・・・(笑)

 ちなみに「水戸彰考館」とは、水戸藩が
 『大日本史』を編纂するために置いた部署の名である。
 そして、安積覚兵衛も佐々介三郎も実在の人物だったりする。
 二人はフィクションでの格さん助さんのモデルとされてるらしい。

御老公一行が行く先々で出会う、謎の陰謀の数々を描いた連作集が本書。

ここまで書いてきて分かると思うが、
往年の国民的TVドラマのパロディである。
もっとも、ここに登場する介(すけ)さん覚(かく)さんは
生粋の文官なので剣の腕はからっきし。
立ち回りはもっぱらお吟さんと風車の男の担当となる。
とはいっても、一話につき1回は、必ずお吟さんの入浴シーンあり(爆)。


「水戸黄門 天下の副編集長」
編纂作業の遅延に、自ら原稿回収に向かうことを決めた御老公。
最初の目的地は伊豆、下田在住の錫之原銅石(すずのはら・どうしゃく)。
しかし銅石は何者かに拉致され、行方不明となっていた。

「水戸黄門 謎の乙姫御殿」
府中宿へやってきた光圀一行。
執筆を依頼した大河原康軒(こうけん)を缶詰め状態にして
原稿を書かせようとするが、その康軒が
衆人環視の中、姿を消してしまう・・・
とは言ってもミステリではないので、真っ当な謎解きはありません(笑)。
御老公一行の行く先々で様々な妨害を行っていたのは、
真田幸村の血を引く月読(つくよみ)姫。
そして彼女に付き従う真田忍軍の精鋭 ”くノ一” 4人組だった。

「水戸黄門 艶姿女編集揃踏(あですがたおんなへんしゅうそろいぶみ)」
藤枝宿にやってきた一行が岡本無楽斎(むらくさい)のもとを尋ねたとき、
当の無楽斎は極度のスランプ状態で、原稿を全く書けない状態にあった。
介(すけ)さん覚(かく)さんは彼をスランプから脱出させるため奔走する。
そして再び現れた真田忍軍4人に対して多勢に無勢だったお吟は、
甲賀の里から援軍として2人の ”くノ一” を呼び寄せるが・・・

「水戸黄門 日本晴れ恋の旅立ち」
光圀一行が訪れた掛川宿では、二つの学派が互いにしのぎを削っていた。
一つは門田学館。先代・門田宜幽(もんた・ぎゆう)の後を継いだ
門田露水鴎(ろみおう)は英才の誉れが高い。
そして一方は伽備流史学院。院長である伽備烈堂(きゃび・れつどう)の
娘・珠里(じゅり)もまた比類無き才媛として知られていた。
ここまで書いてくるともう分かると思うが(笑)、
親同士がいがみ合う中、露水鴎と珠里は許されざる恋に落ち、
光圀一行もまたその騒ぎに巻き込まれていく、という展開。


ラストの時点では、黄門様ご一行の目的(原稿の取り立て)は
まだ完了していないみたいなので、いちおう続編も可能な終わり方。

今までのハードボイルドな作風とは打って変わって
こんなユーモアたっぷりな作品を書くとはちょっと驚き。
まあ、たまにはこんなふうなものも書いてみたくなったのかなぁ。

 田中啓文あたりが書きそうな話だよねぇ(笑)、

何にしろ、引き出しが多いというのは良いことだ。

nice!(4)  コメント(4) 
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コメント 4

mojo

鉄腕原子さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2018-09-27 22:03) 

mojo

xml_xslさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2018-09-27 22:03) 

mojo

@ミックさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2018-09-27 22:04) 

mojo

サイトーさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2018-09-28 22:26) 

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