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白虹 [読書・ミステリ]


白虹(はっこう) (PHP文芸文庫)

白虹(はっこう) (PHP文芸文庫)

  • 作者: 大倉 崇裕
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2014/07/09
  • メディア: 文庫
評価:★★★

警官だった五木健司は、ある “事件” をきっかけに職を辞し、
警備員の傍ら、夏の間だけ北アルプスの山小屋で
アルバイトとして働くという生活をしていた。

ある日、五木は登山ルートから外れて倒れていた
名頃(なごろ)という男を救助する。

小屋でのバイトが終わり、下山して東京へ帰った五木は、
意外な知らせを耳にする。

群馬県の長沢山で女性の他殺死体が発見され、
登山口近くの崖下に転落した車両から男性の遺体が発見されたという。
男は退院したばかりの名頃、そして女性は彼の恋人・奥村裕恵だった。

警察は別れ話のもつれから名頃が裕恵を殺害、
そして名頃は逃走の際に事故死したものと見ているらしい。

「俺が奴を助けたために、一人の女性が死んだ・・・」

後悔に苛まれる五木の元を訪ねてきたのは裕恵の父・裕幸。
執拗に名頃のことを聞き出そうとする裕幸に困惑する五木。
そこへかつての上司・藤野巡査部長が現れ、
父親には何も話すなと告げる。

事件に割り切れぬものを感じた五木は、
裕恵の残した手帳を手がかりに真相を探り始めるが・・・


「警視庁いきもの係」シリーズのように、
どちらかというとユーモア・ミステリがメインの作家さんだと思うが
ハードな山岳小説もかなり執筆している。

本書のその一編で、作者名を知らずに読んだら
同じ作者とは思えないだろう。

私自身は登山は全くしない人間だ。
高校の頃に1回だけ1000m級の山に登って、そこで懲りた(笑)。

だから山に登りたがる人の気持ちはサッパリ分からないんだが、
山岳小説自体は嫌いではない。

もっとも、五木の探索行自体はほとんど東京近辺で行われるので
“山” が苦手な人でも大丈夫(笑)だろうし、
登山に縁がない人でも、要所要所でいろんな知識が披露されるので
ある種の業界小説としても面白く読めるだろう。

そして本書は、過去の挫折から世間に背を向けていた男が
巻き込まれた “事件” をきっかけに、有形無形の妨害を乗り越え、
再び前を向いて歩き出すまでを描き出していて、
このあたりは典型的な冒険小説のフォーマットでもある。

そして何と言っても、本作は作者お得意の本格ミステリでもあるのだが
そのあたりは読んでのお楽しみだろう。

nice!(4)  コメント(4) 
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コメント 4

mojo

@ミックさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2018-07-26 22:45) 

mojo

鉄腕原子さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2018-07-26 22:45) 

mojo

Ujiki.oOさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2018-07-26 22:45) 

mojo

31さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2018-07-26 22:45) 

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