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家庭用事件 [読書・ミステリ]

家庭用事件 (創元推理文庫)

家庭用事件 (創元推理文庫)

  • 作者: 似鳥 鶏
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2016/04/28
  • メディア: 文庫



評価:★★★

ほぼ3年ぶりの<市立高校>シリーズの最新作は5編収録の短編集。
美術部の葉山くんが狂言回し、演劇部の柳瀬さんがヒロイン役、
伊神先輩が探偵役という、お馴染みのキャラ設定。

「不正指令電磁的なんとか」
 時系列的にはシリー第1作『理由(わけ)あって冬に出る』の直前。
 葉山くん高校1年の冬。
 演劇部の看板女優・柳瀬さんを映研部員の辻さんとPC研部員の三宅が
 取り合う場面に出くわした葉山くん。
 それぞれ自分たちが作成する作品に出演してもらおうと譲らない。
 とりあえずその場では「映研優先」ということで纏まり、
 契約書を作成することに。しかしその契約書の内容が
 いつの間にか「PC研優先」に書き換わっていた。
 衆人環視の中、作成された文書は、どうやって改竄されたのか。
 うーん、PCに詳しい人なら見当はつきそうだが
 PC研の三宅くん、スキル高すぎ。

「的を外れる矢のごとく」
 弓道部部長の更科さんが、柳瀬さんとともに
 葉山くんに相談を持ちかけてきた。
 弓道場に何者かが侵入、「的枠」を盗んだという。
 さして高価でもないものをわざわざ盗んだのはなぜか・・・

「家庭用事件」
 夕食の準備をしていた葉山くんのマンションが突然停電する。
 しかし停電したのは葉山家のみ。
 何者かの意図を感じた葉山くんだが・・・
 表題作なんだけどいちばん短い。
 文庫で30ページ弱しかないんだが、きちんと纏まってる。

「お届け先には不思議を添えて」
 アンソロジー『放課後探偵団』で既読。
 映研のOB・福本が学校にやってきて、
 映研が大量に保存しているVTRをDVD化しないかと提案する。
 後輩のコネで安くできるのだという。
 申し出に乗った映研は、大量のテープを段ボールに梱包、
 福本の元へ発送するが、到着したテープの一部が
 再生できないほど傷んでしまっていた。
 発送時には無事だったはずなのに・・・
 葉山くんは伊神先輩の協力を得ながら捜査を始める。
 まあ、犯人の動機はわかるがきちんと話せばすむことのような気も。

「優しくないし健気でもない」
 葉山君の妹・亜理沙の友人の姉、河戸真菜がひったくりに遭う。
 しかしなぜか奪われたバッグは、中身は何も奪われないまま
 現場近くに放置され、さらに中には古びたフクロウのぬいぐるみが。
 相談を受けた葉山くんは、
 とりあえず真菜がつきあっている彼氏に会いに行くが・・・
 いやあ、このシリーズは10年目になるそうな。
 (ということは作者もデビュー10年目だ)
 本作で、ある "事実" が明らかになるのだが、
 (まあ、読んでると何となく分かってくるのだが)
 最後に "確定" されるとやっぱり驚く。
 この "ネタ"、シリーズ開始時点(つまり10年前)から
 考えてあったとしたらたいしたもんだ。

 "すっかりお馴染み" の世界に、
 こんな巨大な "びっくり" が埋まってるなんてねぇ。
 このぶんでは、まだまだたくさん
 読者を驚かせる "仕込み" があったりして。


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mojo

31さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。
by mojo (2016-08-02 21:56) 

mojo

コースケさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。
by mojo (2016-08-03 23:15) 

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