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人魚姫 探偵グリムの手稿 [読書・ミステリ]

人魚姫 探偵グリムの手稿 (徳間文庫)

人魚姫 探偵グリムの手稿 (徳間文庫)

  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2016/01/08
  • メディア: Kindle版



評価:★★★☆

舞台は1816年のデンマーク、王の離宮があるオーデンセの町。
主人公は11歳の少年、ハンス・クリスチャン・アンデルセン。

半年前、離宮で第二王子クリスチャンが
何者かに殺害されるという事件が起こった。
容疑は、直後に姿を消した侍女に向けられたが・・・

父を亡くしたハンスは、川に落とした形見の人形を探すうち、
ルートヴィッヒ・エミール・グリムという青年と知り合う。

海岸まで来た二人は、砂浜に倒れていた美少女・セレナを見つける。
彼女は意外な事実を彼らに告げた。

セレナは海の国からきた人魚の姫であること。
離宮から姿を消した侍女は、魔女の力を借りて
人間へと姿を変えた、彼女の妹であったこと。
王子との結婚を果たせなかった妹だったが、
彼を殺すことができず、海へと身を投げて泡になって消えたこと。

この件がきっかけで海の国の中で混乱が起こっていること。
その混乱を鎮めるために、王子を殺した真犯人を見つけるべく、
セレナ自身も人間の姿となって地上へ現れたこと。
そして、人間となったセレナが
地上で生きられる時間は7日間しかないこと・・・

一週間というタイムリミットを前に、
3人は王子殺害事件の調査を始めるが・・・


ご存じアンデルセン童話「人魚姫」をモチーフとした作品で
ファンタジー要素を多分に含んでいるけれど、そこは北川猛邦。
魔女との "契約" などもきちんと伏線に織り込んで
かっちりとした本格ミステリになっている。

作者お得意の大がかりな物理トリックも登場するし、
真犯人の意外さには、ちょっと驚かされるだろう。


ミステリとしての興味とは別に、主役3人組の魅力も大きい。

ハンスはもちろん、後の世界的童話作家だけど、
必ずしも恵まれない幼少期を過ごしている。
その彼が、事件を通して成長していく姿が描かれる。

探偵役を務めるルートヴィッヒは、飄々とした風来坊。
表紙のイラストを見てると、「ムーミン」に出てくる
スナフキンを彷彿とさせる(トシがわかってしまうねえ)。
wikiによると、6人いたグリム兄弟の末弟で、
長兄と次兄が編纂した童話集の挿絵を描いた人らしい。

そしてヒロインのセレナ。
初めての人間の世界に戸惑いつつ、
生命の期限が迫ってきても、最後まで凛として振る舞い続ける。
いやあ健気だなあ・・・
ミステリとしての結末より、彼女の運命の方が
気になって仕方がなかったよ(笑)。


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mojo

31さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。
by mojo (2016-05-23 22:04) 

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