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『水素水』に関する個人的な考察 [日々の生活と雑感]

※長文注意!

最近、『水素水』なるものがブームらしい。
ちょっと前に「酸素水」なんてのも流行ってた気がするんだが・・・

かみさんに聞いてみたら、近所のスーパーに山積みになってて
しかもけっこう売れてるらしい。

まあ、何をどう売ろうが、需要があるから売れてるんだろうし
売る人買う人のことをどうこう言うつもりは無いけど、
いちおう大学では理系の端くれにいた者として
自分なりに思うところがあったので書いてみた。

『水素水』の効能を信じている人には、
お気に召さない内容になってるだろうな・・・ということを
まずはじめに断っておこう。


乏しい化学の知識を総動員して
wikiを見ながら書いたので間違いもあるかと思うが
そのへんは「素人のたわごと」と思って
笑って読み飛ばしていただきたい。


ネットを開いて『水素水』って検索すると
トップに出てくるのが清涼飲料水を販売しているI社の宣伝サイト。
とりあえずこの会社の『水素水』を例に考えてみた。


○水素濃度について

I社の公式サイトでは
「充填時に1.9~2.5ppmの高濃度」を謳っている。

そもそも、水に対して水素はどれくらい溶けるものなのか。
ちょっと調べてみると、1atm=1013hPa下で、
0℃の水1Lに0.000974mol溶ける。
質量にすると0.001948gになる。

水1L=1000gとして、ppmにすると
 0.00194÷1000✕1000000=1.94ppm

普通に溶かしても1.94ppmまでは溶ける。
2.5ppmまで溶けてるというのは、
溶かす時に1atm以上の圧力を加えてるからだね。
(計算上は1.3atmくらいか)

で、製造後は1atmのもとで流通するので
加圧下で余分に溶かし込んだ分は
だんだん抜けていってしまうということだろう。
それでも、1.94ppmは残る。このへんは「看板通り」だね。


○2.5ppmとはどれくらいなのか

ppmとは「100万分率」のことだ。
日常生活でよく使う「100分率」ことパーセント(%)に直してみると
 1%=10000ppm  あるいは 1ppm=0.0001%
となる。つまり 2.5ppm とは 0.00025% のことだ。

I社の公式サイトでは200mLパックで売られている。
1Lの1/5サイズなので、1パック中の水素の量を計算してみよう。

200mL=200gとして、水素の質量は
 200g✕2.5÷1000000=0.0005g
molにすると(水素の分子量は2なので)
 0.0005÷2=0.00025mol
体積にすると 気体1molは22400mL(0℃・1013hPaで)だから
 22400✕0.00025=5.6mL

5.6mLというのは、親指の先くらいの体積である。
1日に5パック飲んだとして、5.6mL✕5=28mL

これだけの体積の水素を体内に取り入れたとして
どれくらいの効率で吸収されるのか、
どれくらいの抗酸化作用を示すのかは専門外なのでここでは触れない。


○抗酸化作用

水素分子が、具体的にどんな反応をしているのかは知らないけど
体内にある活性酸素の一種である
過酸化水素(分子量34)と反応すると仮定すると、
水素分子1個は、過酸化水素分子1個を除去することができる。
 H2 + H2O2 → 2H2O
gにすると、水素2g が 過酸化水素34g と反応することを示している。


抗酸化物質としてよく挙げられるビタミンC(分子量は176)。
これも分子1個で過酸化水素分子1個を除去できる。
 C6H8O6 + H2O2 → C6H6O6 + 2H2O
gにすると、ビタミンC 176g が 過酸化水素34g と反応する。

過酸化水素1gを除去するのに必要な量を計算してみる。
 水素は      2÷34=0.059g
 ビタミンCだと    176÷34=5.2g
ざっと、水素の方が1/88くらいの少量で済む。

こう書くと水素は素晴らしいように思えるが・・・


○過酸化水素1gを除去するためには、『水素水』が何mL必要か?

200mL中に含まれる水素が0.0005gなのだから、
0.059g摂取するには
  0.059÷0.0005=118
200mLパックが118本必要になる。

I社の公式サイトでは、1年間継続して購入すると
20%割引になるコースが紹介されていて、これだと1本当たり217円。
 118✕217=25606
つまり25606円かかることになる。

ビタミンCだとどれくらいかかるか。
amazonで探すと   『ビタミンC錠2000「クニキチ」』
が 320錠入りで945円。
3錠でビタミンCが1g含まれているので、5.2g摂取するには
 5.2÷(1/3)=15.6(錠)
かかる費用は
 945÷320✕15.6=46
わずか46円である。


仮に、『水素水』中の水素が
体内に吸収される割合がビタミンCの10倍で、
過酸化水素を除去する効率がビタミンCの10倍だったとしても
なお5倍以上のコストパフォーマンスの差があることを
この計算は示している。

・・・と、ここまで書いてはみたものの、
私は医学の専門家ではないので、
水素とビタミンCが体内に吸収される割合に
どれほどの差があるものなのかも知らないし、
過酸化水素以外の活性酸素に対して
水素がどれほどの除去効果を示すのかも知らない。

『水素水』中の水素の効能が
ビタミンCを何倍上回るのか、というようなデータが
あるのかないのかも、寡聞にして知らない。

ということで、いささか無責任な物言いになるが
上記の文章にどれほどの意味があるのかもわからない。

私なりに無いアタマを振り絞って考えたことだが
このへんが限界のようだ。
『水素水』に対する私の考察はここまでとしておこう。


でも、『水素水』が好きな人は、誰が何と言おうと買うよねえ。
それはそれでいいのではないかな。

私は買わないけど(笑)。


余談

ビタミンCを例に挙げたので、これについてちょっと書いてみよう。

米国にライナス・ポーリングという科学者がいた。
1954年にノーベル化学賞を受賞していて、wikiでは
「20世紀における最も重要な化学者の一人」って書かれてる。

この人、後半生はビタミンの研究に打ち込んでいて
「ビタミンCの大量摂取がガンの発生を防ぐ」として
自分自身も1日1gのビタミンCを摂取していた。

ビタミンCの効果については
いろいろと論議があるのでここでは触れないが、
ポーリングさん自身は
前立腺ガンでお亡くなりになってしまった(おいおい)。

でも、93歳まで生きたので、
天寿を全うしたと言えるのではないかな。

これがビタミンCの効果かどうかはわからないけど。


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mojo

31さん、こんにちは。
nice! ありがとうございます。
by mojo (2016-05-22 11:07) 

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