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海から何かがやってくる 薬師寺涼子の怪奇事件簿 [読書・SF]

薬師寺涼子の怪奇事件簿 海から何かがやってくる (ノン・ノベル)

薬師寺涼子の怪奇事件簿 海から何かがやってくる (ノン・ノベル)

  • 作者: 田中 芳樹
  • 出版社/メーカー: 祥伝社
  • 発売日: 2015/09/01
  • メディア: 新書



評価:★★★☆

"警視庁の女王様"、刑事部参事官・薬師寺涼子27歳。
絶世の美女にして性格は傲岸不遜。
彼女が巻き込まれた(巻き起こした?)事件の顛末をつづる
人気シリーズ第10作。


今回、涼子とその部下一同がやってきたのは
東京から南へ800km、絶海の孤島に建設された
一大リゾート施設群。

派遣目的も不明なまま到着した彼らに続いて現れたのは
国家公安委員長・天神原アザミ女史の後援会の面々。
そしてそれに随行してきたのは涼子の宿命のライバル、
室町由紀子参事官だった。

しかし天神原女史一行を運んできた海上自衛隊の飛行艇が
海中からの何者家による攻撃で撃墜される。
さらに応援に駆けつけてきた海上保安庁の巡視艇、
海自のオスプレイまで襲撃される。

やがて彼らの前に、謎の巨大生物が現れる・・・・


異形の超生物と人間たちの攻防を描いているので
設定だけ見たら『ウルトラQ』なんだが、
そこに涼子サマが現れると、すべてはブラックな
ドタバタコメディになってしまう。

人類側の反撃(?)も、たんなる悪あがきにしか過ぎなくて
まあ端的に言えば無駄な抵抗なんだが、しかしそんな中でも
しっかり自分の欲望に忠実に生きる方々はいるわけで
結局人間がいちばん始末に悪い生き物だという、
ある意味お約束な展開でもある。

まあ、そんなちゃちな悪巧みが涼子サマのハイヒールのかかとで
ガリガリと踏みつぶされていく様子をニヤニヤしながら読むのが
本書の正しい楽しみ方だろう。


また余計な話を。

本文中にちりばめられた、現代日本に対する強烈な "風刺" については
前作『魔境の女王陛下』でも触れたし、本書でもそこは相変わらずだ。

正論を述べることは大事だが、
正論だけでは、ものごとは廻っていかないのもよくあること。
だから正論ばかり振りかざす人は嫌われやすい。
でも、嫌われるのを承知で、あえて正論を口にする人もいる。

どんな組織にもそんな人はいるだろう。
それはそれで勇気の要ることだ。

日本に田中芳樹という作家は必要だと思うけど
日本の作家がみんな田中芳樹みたいになったら
"小言おじさん" ばかりで、それはそれで息苦しいような(笑)。


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