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英国パラソル綺譚 アレクシア女史、欧羅巴で騎士団と遭う [読書・ファンタジー]

アレクシア女史、欧羅巴(ヨーロッパ)で騎士団と遭う (英国パラソル奇譚)

アレクシア女史、欧羅巴(ヨーロッパ)で騎士団と遭う (英国パラソル奇譚)

  • 作者: ゲイル・キャリガー
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2011/12/07
  • メディア: 文庫



評価:★★★

吸血鬼や人狼やゴーストなどの<異界族>と、人間とが共存している
パラレルワールドの19世紀イギリスを舞台に、
<異界族>の力を封じることができる
<反異界族>の女性・アレクシアの冒険を描いたシリーズの第3作。

前作のラストで、めでたくご懐妊が判明したアレクシア。
しかし夫のマコン卿は喜ぶどころか怒り狂ってしまう。

それは、"半ば死んだ存在" である人狼(&吸血鬼)が、
女性を妊娠させることは不可能と考えられていたし、
記録上もそのような事実はなかったから。

要するにマコン卿は妻の浮気を疑ったのだが
身に覚えのないアレクシアは当然のことながら大激怒、
居城を飛び出して実家へと転がり込む。

しかし "マコン卿夫人の不貞疑惑" が社交界に広く暴露されてしまい、
口の悪い母親や異父妹たちに絶えかねたアレクシアは
ロンドンで最高齢の吸血鬼・アケルダマ卿を頼ろうとするが
なぜか彼は行方不明、屋敷もまたもぬけの殻となっていた。

仕方なくアレクシアは、友人のマダム・ルフォーと
秘書のフルーテを伴ってヨーロッパへ旅立つことにするが、
なぜか三人は吸血鬼による執拗な襲撃を受け続けることになる。

一方、一時の激情に駆られて妻を追いやってしまったが
実はアレクシアに未練たらたらのマコン卿は酒浸り。
全く使い物にならないボスに代わり、副官のライオール教授が、
アケルダマ卿失踪の謎を追うことになるが・・・


この後、吸血鬼の追っ手から逃げまわるうちに
フランスのパリ、そして山脈を越えてイタリアへと向かう三人組の
ドタバタな冒険旅行がユーモアたっぷりに綴られていく。

タイトルにある「騎士団」とはテンプル騎士団のことで
この作品世界のイタリアはイギリスとは逆に異界族に対して不寛容。
テンプル騎士団もまた異界族排斥の急先鋒だった。

しかし騎士団は異界族の研究でも長い歴史を持っており、
アレクシアの父・アレッサンドロとも浅からぬ因縁があった。
彼らの記録に当たれば、アレクシアの妊娠の真相も
明らかになるかも知れない・・・


全5巻の3巻目ということで、ストーリーも折り返し点なのだろう。
アレクシアの逃避行と吸血鬼たちの陰謀が並行して語られていくが
どちらかというと後半2巻に向けての舞台のお膳立てとか
伏線張りとかに重点があるような気もする。

いくつかの謎は解明されるけれども、持ち越しになる謎も多く、
次巻への "引き" も抜かりない。


ヒロイン・アレクシアはもちろん脇役陣に至るまで見事なキャラ立ち。
レギュラーメンバーもおなじみになってきて、
すんなり作品世界に入り込める楽しみなシリーズになった。
これがあと2巻で終わるのはちょっともったいない気がしてきたよ。


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