機忍兵零牙 [読書・SF]
評価:★★★☆
タイトルは「きにんへい れいが」と読みます。
デビュー作「機龍警察」に続く(たぶん)2作目。
いずことも知れぬ異世界、一つの国が滅亡した。
あまたの異次元世界を制覇しようという「無限王朝」。
その尖兵たる "骸魔衆" と、彼らの操る巨大な "機忍獣" によって。
しかし国守の二人の遺児、真名姫と若君・鷹千代は、
炎上する城を脱出、遙か北の国を目指して落ち延びる。
骸魔衆の追撃に、絶体絶命となった二人を救ったのは、
零牙と名乗る手練れの忍び。そして彼の3人の仲間たち。
彼らは、「無限王朝」と戦い続ける伝説の忍び集団<光牙>(こうが)から
遣わされた者たちであった。
亡命の旅をゆく一行の行く手に立ちはだかるは、
骸魔衆の精鋭・"骸魔六機忍" とその頭領・死皇丸(しおうまる)。
骸魔忍群vs<光牙者>、超常の殺戮力を秘めた "機忍法" が激突する・・・
ちょいと古いが、50代以上の方なら1967年から68年にかけて
1年間放映された特撮TVドラマ「仮面の忍者 赤影」をご存じだろう。
冒頭、骸魔衆に操られた巨大怪獣が街を破壊するシーンを読んで
真っ先に思い浮かんだのがこのイメージだった。
そして、骸魔六機忍と彼らの使う機忍法は、
山田風太郎の忍法帖シリーズだろう。
登場する六機忍のネーミングも
黒薙怜門(くろなぎ・れいもん)、濡髪絵蓮(ぬれがみ・えれん)、
帷虹之助(とばり・にじのすけ)、魔妖女(まようじょ)とかもう・・・
全体の雰囲気は東映特撮か・・・
映画「宇宙からのメッセージ」(これも古い)
もうちょい後なら「里見八犬伝」(これも古いなあ)、
もっと言えば "戦隊もの" の雰囲気もある。
文庫で350ページほどだが、絢爛な世界描写、奇想天外な "機忍法"、
そして、宿命のライバルである二人、零牙と怜門の対決を頂点とする
熱く哀しい人間ドラマをも惜しみなく詰め込んだつくり。
「機龍警察」シリーズで絶賛ブレイク中の人だけど、
この1作だけでも充分にその理由は理解できるだろう。
ただ、かな~り "濃い" 作品だけに、好き嫌いは分かれるかも知れない。
私はこういうの大好きだけどね。
この作品で完結はしてるんだけど、その気になれば続きが作れそう。
今は「機龍警察」シリーズとかで忙しいのかも知れないが、
いつか "彼ら/彼女らのその後" が読みたいなぁ。
最後にちょっとネタバレっぽいことを書く。
戦隊ものは5人なのに、出てくる<光牙>は4人しかいないじゃないか?
大丈夫、ちゃんと "追加戦士" が登場して5人になります(笑)。
この、"5人目誕生" のエピソードがまた泣かせるんだなぁ・・・
makimakiさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。
by mojo (2014-12-26 19:22)