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SF作家・豊田有恒さん、ご逝去 [日々の生活と雑感]



Yahoo!ニュースでSF作家・豊田有恒さんの訃報が伝えられました。
享年85歳とのこと。

記事から引用します。***************************************

 豊田有恒さんは1962年、「火星で最後の……」(※1)でSF作家デビュー。「日本SF作家第一世代」(※2)としてSF黎明期をけん引し、「モンゴルの残光」「ヤマトタケル」シリーズ、「異次元神話」「タイムスリップ大戦争」など多くの作品を残した。アニメ脚本家としても高く評価され、平井和正原作の「エイトマン」で脚本家デビューすると、手塚治虫の「鉄腕アトム」「ジャングル大帝」など名作のシナリオを手がけた(※3)。人気アニメ「宇宙戦艦ヤマトシリーズ」では原案、設定にも携わった(※4)。

引用ここまで*********************************************

ちょっと注釈を入れると
※1:第2回ハヤカワ・SFコンテストの佳作に入賞
※2:同世代の作家には小松左京・星新一・筒井康隆・光瀬龍・平井和正・眉村卓など
※3:他の参加作品に「宇宙少年ソラン」「スーパージェッター」「冒険ガボテン島」など
※4『「宇宙戦艦ヤマト」の真実――いかに誕生し、進化したか(祥伝社新書、2017年10月)』で詳細を語っている

 「冒険ガボテン島」を最後にアニメ脚本を離れて作家専業になり、多くの作品を産み出されてきました。

   私が豊田有恒さんの名を知ったのは、中学時代に読んだ「SF教室」(筒井康隆・編著、1971年・ポプラブックス)。子供向けのSF入門書兼読書ガイドであるこの本で、SF作家の一人として豊田有恒さんの名もありました。

 そして本格的にSFにハマるきっかけになったのは、もちろんTVアニメ『宇宙戦艦ヤマト』(1974年)でした。
 ここから数年は、私の読書の大半はSFが占めるようになりました。『ヤマト』に「SF設定」として参加されていた豊田さんの著作ももちろん貪るように読んだものです。

 ちなみに豊田さんも松本零士さんも1938年生まれなので、1974年には36歳。若かったんですねぇ。

 ハヤカワ文庫から出ていた作品は全て読みましたし、その後のSF作品もほとんど読んでいました。
 ヴィンス・エベレットを主人公としたタイムパトロール・シリーズ、日本神話の世界を舞台にしたヤマトタケル・シリーズなんか夢中になって読んだものです。
 特にヤマトタケル・シリーズは高千穂遙の『美獣』や栗本薫の『グインサーガ』より前でしたから、本格的なヒロイック・ファンタジー・シリーズとしてはたぶん日本初だったんじゃないかなぁ。
 作家活動の後半で歴史小説が主体になってしまってからは、足が遠のいてしまいましたが・・・


 数多い作品の中で、私がいちばん印象に残っているのは『地球の汚名』(1970年)です。たぶん、豊田さんの作品で一番最初か二番目くらいに読んだと記憶してます。『宇宙戦艦ヤマト』と同じく、星間戦争を扱った長編スペースオペラでもあったのも大きいでしょう。
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 もともとは「忠臣蔵」の物語を未来世界に置き換えたパロディとして考えていたものが、書いているうちにだんだん内容がシリアスになっていってしまった、って「あとがき」にあったのを覚えています。

 いまでもだいたいのストーリーは頭の中に残ってたりします。
 「幕府」を星間連盟、「赤穂」を地球に置き換えて、「吉良家」は地球と敵対する異星人ザミーン。
 「勅使」ならぬ星間連盟からの使節を迎えた地球だが、使節はザミーンの陰謀で暗殺され、地球は ”星間連盟への反逆者” の汚名を着せられてしまう。
 地球盟主(浅野内匠頭に相当)は処刑され、地球は星間連盟の管理下に置かれてしまう(進駐してくるのはザミーン軍)。しかし主人公たち一部の軍人(赤穂浪士に相当)は地球を脱出して太陽系内に潜伏、やがて宇宙艦隊を組織してザミーンの星系に侵攻、敵本星において陰謀の首魁を暴き、星間連盟に対して地球が無実である証しを立てる、というものです。
 豊田さんの作品の中では主流ではない作風なのですが、私にとっては忘れがたい傑作です。

 後に本作の設定の一部が映画『ヤマトよ永遠に』に流用されたそうです。ストーリー序盤で地球が敵の異星人に占領されてしまうところとか、小惑星帯に戦力が秘匿されていたところとか、太陽系を脱出した艦隊が敵本星を目指すところとか、でしょうね。

 幼少期に浴びるように観ていたTVアニメを脚本家として支え、私をオタク人生に引きずり込んだ(笑)『宇宙戦艦ヤマト』にも参加し、多くのSF小説で楽しませてくれた豊田有恒さんには感謝しかありません。

 最近、昭和の頃から活躍されていた俳優さんや声優さん、作家さんの訃報を耳にすることが増えました。淋しいことですがこれも時の流れ、なのでしょうね。

 ご冥福をお祈りします。
 合掌。


タグ:SF
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