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沈黙の艦隊 [映画]



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まずはあらすじ。公式HPからの引用です。

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 日本の近海で、海上自衛隊の潜水艦が米原潜に衝突し沈没した。艦長の海江田四郎(大沢たかお)を含む全76名が死亡との報道に衝撃が走る。だが実は、乗員は無事生存していた。事故は、日米政府が極秘に建造した高性能原潜〈シーバット〉に彼らを乗務させるための偽装工作だったのだ。米艦隊所属となったシーバット、その艦長に任命されたのが海自一の操艦を誇る海江田であった。
 ところが、海江田はシーバットに核ミサイルを積載し、突如反乱逃亡。海江田を国家元首とする独立戦闘国家「やまと」を全世界へ宣言した――。
 やまとを核テロリストと認定し、太平洋艦隊を集結させて撃沈を図るアメリカ。アメリカより先にやまとを捕獲すべく追いかける、海自ディーゼル艦〈たつなみ〉。その艦長である深町(玉木宏)は、過去の海難事故により海江田に並々ならぬ想いを抱いていた……。
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 原作は同名の人気マンガ。連載開始は1988年だから、もう35年も前のことだ。潜水艦ものが大好きな私は当然ながらファンになり、単行本も買い込んでいた。職場に持って行ってみんなで回し読みとかもしたものだ。
 ところが連載も佳境に入った頃、私は結婚することになって式の準備やら新居への引っ越しやらてんてこ舞いの状態になり、新婚生活が始まれば毎日の生活だけで精一杯。なにせ2人ともフルタイムの共働きだったからねぇ。
 アパート暮らしで狭かったせいもあり、私物は大半が実家に置いたまま。けっこう持っていた漫画本もそのまま。だから『沈黙の艦隊』の単行本も途中まで(たぶん18巻くらいまで)買ったきり、いまでも実家の押し入れの奥に眠ってるだろう。だから後半のストーリーは正直よく知らない(おいおい)。たまに書店で立ち読みしてたので、だいたいのところは知ってるんだけどね(えーっ)。

 おっと、余計な話が長くなってしまった。

 単行本で32巻にもなるこの原作、まともに映画化したら三部作どころか、その倍くらいのボリュームが必要になるだろう。
 だから今回の映画化で一番気になったのは、原作のどこまでを映像化しているか、だった。駆け足ダイジェストになってたらイヤだなぁ・・・って思ってたんだが、結論から言うとそうはなっていなかったので一安心だった。

 2時間の尺の中で、無理のない範囲で切りのいいところまでを上手に映像化していると感じた。
 ストーリー進行のペースについても、思っていたよりゆったりと、けっこう丁寧に作られていたように思う。もちろん原作発表から30年以上の時間が経っていて、あちこちに改変部分はあるのだけど、観ていて気になることはなかった。

 監督は吉野耕平さん。彼がメガホンを取った『ハケンアニメ!』(2022)は、個人的には素晴らしい作品だと思ったんだけど、興収は今ひとつだったみたい。でも、こういう超大作に起用されたのは、業界内では評価されていたということなのだろう。それは素直に嬉しく思った。

 CGも進歩して、海中の戦闘シーンなども迫力充分、海上艦も大半はCGなのだろうけど、問題なく観ることができるレベルになってると思う。
 ただ、シーバットに向かってくる魚雷がことごとく外れるのは、(主人公補正があるにしろ)それなりの理屈づけはきちんとしてほしいところ。だいたいは説明されてるんだけど、一部「なんで外れたの?」ってシーンがあったと記憶してる。細かいところだけど、そういうところをきっちりしないとリアリティが薄れてしまう。

 それ以外で違和感を感じたのは、やっぱりキャラ設定かな。原作の海江田は、まさに ”若きカリスマ” という感じで明快・颯爽・敏腕というオーラを発散させていたかと思うんだが、大沢たかおの演じる海江田は、頭脳明晰なところは同じでも、つかみ所の無い、一種異様で不気味な雰囲気を醸し出している。
 海江田と対立する役どころの深町。原作ではけっこう無骨だったような気もするのだが、玉木宏ではちょっとスマートなイメージが強いような。
 でも、こういう二人の『沈黙の艦隊』もありかな、って思わせることはできているんじゃないかな。

 登場人物に占める女性の比率が上がっているのは、やっぱり35年という時の流れを感じた。防衛大臣が女性だし、女性の自衛隊員も多く登場してる。シーバットにも〈たつなみ〉にも女性乗組員がいる。現実の自衛隊でも令和2年から潜水艦に女性乗組員が誕生してる。
 本作で〈たつなみ〉副長・速水貴子を演じた水川あさみさん、とってもカッコよかった。

 日本側の配役で難点を挙げるなら、海原大悟を演じた橋爪功さん。ご高齢のせいか(現在82歳)、滑舌が悪くて台詞がよく聞き取れませんでした。
 『リボルバー・リリー』のときもちょっと感じたんですけど、今作はそれ以上だったような・・・。まあ、「お前の耳が悪いんじゃないか」って言われればそれまでなんですが。

 いちばん大きな問題点は、やはり外国人俳優さんが演じている部分が弱いところかなぁ。アメリカは今回、シーバットの敵に回るわけなんだが、あまり強そうに見えないんだよね。やっぱり有名どころがいないせいかな。
 もし続編が作られるならば、さらなる強敵が出現するわけで、それを演じる外国人俳優さんの比重も大きくなるはず。

 でも、この作品は Amazon の出資で作られてるようだから、もしもこの映画が好評で全世界公開/配信、なんてなったら外国人部分だけ名のある俳優さんを使って撮り直すんじゃなかろうか。
 そして続編は Amazon Prime Video での配信で、なんてことになるかも知れない。まあ、すべてはこの映画の興収しだいだけど。

 もし外国人俳優さん部分がもう少し何とかなるのなら、続編が見たいな。期待します。


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