SSブログ

スケルトン・キー [読書・ミステリ]


スケルトン・キー (角川文庫)

スケルトン・キー (角川文庫)

  • 作者: 道尾 秀介
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2021/06/15

評価:★★

 主人公・坂木錠也(じょうや)は天涯孤独な身の上で、児童養護施設で育った。生まれつき「恐怖」という感情が欠落しており、それが原因でたびたび問題を起こしていた。

 18歳になり、施設を出ることになった錠也は園長から母親のことを聞かされる。18年前、錠也を身ごもっていた母親は、働いていたパブに乱入してきた男に散弾銃で撃たれた。重傷を負った母親は錠也を生んだ後、亡くなったという。

 施設を出た錠也は現在19歳。芸能週刊誌の記者・間戸村(まとむら)の依頼を受けて、芸能人の追跡や張り込みなど潜入捜査を行っている。

 そんな錠也に、養護施設時代の友人・迫間順平(作中では ”うどん” というあだ名で呼ばれる)から連絡が入る。会って話がしたいという。
 彼の話によると、錠也の母親を散弾銃で撃ったのは、順平の父だったのだという。さらに・・・

 物語はここから、凄まじい殺人の連鎖が始まっていく。それこそ ”容赦ない” とはこのことだ、と思わせるくらい。
 「えーっ、このキャラまで殺しちゃうの?」って悲鳴が上がるほど、見境なくぶち殺されていってしまう(おいおい)。

 それまでも主人公・錠也が、幼少期から ”サイコパス” ぶりを発揮する描写はあるのだけど、そんなものはまだまだカワイイ部類だったと思い知らされる。

 では、本書はそういうサイコパスによる無差別シリアル・キラーものなのかというと、そうとも言い切れない。
 なにしろ作者は道尾秀介だからね。ミステリ的な仕掛けもきっちり仕込んである。そのあたりは何を書いてもネタバレになりそうなので、とにかく読んでみてくださいとしか言いようがない。

 どう転んでも悲惨な結末しか見えない物語のようでいて、本書のエンディングは、これはこれでいかにも道尾秀介らしい、とも感じる。
 どう終わるかは書けないけど(笑)。

 作中に散りばめられた、サイコパスや脳の認知機能を巡る蘊蓄などもなかなか興味深く読ませてもらった。

 とは言っても、全編に漂う殺伐として不穏な雰囲気はやっぱり好きになれなくて、星の数はちょっと少なめに。



nice!(4)  コメント(0) 
共通テーマ:

nice! 4

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント