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海賊島の殺人 [読書・ミステリ]

海賊島の殺人 (創元推理文庫)

海賊島の殺人 (創元推理文庫)

  • 作者: 沢村 浩輔
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2018/07/12
  • メディア: 文庫
評価:★★★★

舞台となるのは、世界中の海を帆船が行き来していた時代。
年代で言えば17~18世紀頃かと思われるのだけど
「イギリス」ではなく〈王国〉と表記されたり、
出てくる地名や街の名もほとんど架空のものだったり、
作中には何カ所かファンタジーっぽい描写があったりと
私たちの世界とは微妙に異なる、別の世界線での物語なのかも知れない。

かつて海賊退治で名を馳せた海軍提督バロウズ卿が誘拐されてしまう。
拉致したのは、海賊連合〈南十字星〉の首魁・リスター。

主人公は、若き海軍大尉アラン。
彼は防諜部のマクミラン少佐から密命を受ける。
海賊に扮して〈南十字星〉に潜入し、バロウズ卿を救出せよ、と。

アランは元役者のソープの指導の下、海賊へと変装し、
伝説の海賊王ハンク・ウィリアムズの遺児・バートと名乗って
乗組員を集め、海賊船ジャッカル・オブ・ザ・シー号の船長として
”海賊デビュー” を果たす。

しかし一向にリスターは接触してこない。
しびれを切らしたバート(アラン)だったが、
ハンクのかつての部下だった男から ”幻影島” のことを聞く。
そこには、ハンクの隠した財宝があるという。
その財宝を手に入れれば、リスターの方から現れるだろう・・・

・・・というわけで、前半はバートによる ”宝探し” が語られる。
さらに、本書に登場する他の海賊たちのエピソードも。

読み始める前、巻頭の登場人物一覧表を見たら
たくさんの海賊やその部下たちの名前がずらりと並んでいて
こんなに覚えきれないよ・・・って思ったのだが、
それぞれ個性的で海賊になった動機や事情もさまざま。
単なる人数合わせでなく、ちゃんとキャラとして立っている。

この前半部のおかげで、メインとなる海賊たちのイメージが
かなりつかめたので、後半に入っても
キャラがごっちゃになることはなかった(と思う)。

”宝探し” を終えたバートたちは、
〈南十字星〉の本拠である ”海賊島” へ招かれる。

しかしそこで起こったのは、謎の連続殺人事件。
バートは図らずも、犯人を探し出さなければならない羽目に・・・

”海賊島” は絶海の孤島であるから、必然的に
犯人はここにいる海賊たちの中にいるはず・・・
というわけで本格ミステリに移行するのだが
犯人当ての興味よりも、なぜ今、この場所で、殺人が起こったのか、
という事件の背景を解明する方に重きが置かれている。

実際、予想外に深い陰謀が潜んでいるのだが・・・

冒険小説として始まり、本格ミステリへと移行した物語は
終盤に至り、再び冒険小説として終幕へ向かう。

とっても面白い作品で、十分楽しませてもらったのだけど
唯一の欠点は女っ気が少ないことかなぁ(笑)。

ジーナという女海賊は出てくるんだけど、
大酒をくらって銃をぶっ放すという、いささか物騒な姐御だ。
まあ、海賊に「物騒でない人」はいないのだろうが・・・

序盤で出てきて、バートの海賊衣装を仕立ててくれた
コニーという女の子が気に入ったんだけど、出番が少なくてねぇ(笑)。


nice!(3)  コメント(3) 
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mojo

鉄腕原子さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2021-03-15 22:53) 

mojo

@ミックさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2021-03-15 22:53) 

mojo

サイトーさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2021-03-15 22:53) 

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