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のぞきめ [読書・その他]


のぞきめ (角川ホラー文庫)

のぞきめ (角川ホラー文庫)

  • 作者: 三津田 信三
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
  • 発売日: 2015/03/25
  • メディア: 文庫
評価:★★☆

全体で二部構成。文庫で400ページほどの分量で、
「第一部」が約100ページ、「第二部」が約250ページ。
その前後を「序章」と「終章」で挟んでいる。


「第一部 覗(のぞ)き屋敷の怪」

時代は昭和の終わり頃。
大学生4年の利倉成留(とくら・しげる)は、
山奥の貸別荘<Kリゾート>でアルバイトをすることになった。
バイト仲間は城戸勇太郎(しろと・ゆうたろう)、
阿井里彩子(あいさと・さいこ)、岩登和世(いわのぼり・かずよ)の3人。

管理人の三野辺(みのべ)は、別荘地以外の周囲の山林への立ち入りを
禁じたていたのだが、ある日、和世はその禁を破ってしまう。
巡礼者の母娘に導かれて山道を進み、巨大な岩の前まで行ったという。

それを聞いた成留たちは、4人でその岩まで行き、
さらに、そこから見えた村にまで足を伸ばしてみる。

そこは誰も住んでいない廃村だった。
「鞘落」という表札がかかった大きな屋敷までやってきた4人は、
そこで何者かの ”視線” を感じ、恐慌に駆られて逃げ帰る。

勇太郎と和世は早々とバイトを辞めることにしたが、
帰る途中で勇太郎は事故死してしまい、
和世にもまた ”異変” が起こる・・・


「第二部 終(しま)い屋敷の怪」

昭和10年代。
東京の大学で日本史を専攻していた四十澤想一(あいざわ・そういち)は
友人の鞘落惣一(さやおとし・そういち)から、彼の故郷のことを聞く。

それは梳裂(すくざ)山地にある侶磊(ともらい)村。
周囲の町村からは「弔(とむら)い村」と呼ばれている。

かつて、村に迷い込んだ落ち武者や巡礼者たちを
村人が殺害し、その以来、村に<のぞきめ>という
”憑き物” が現れるようになった・・・という伝説があるという。

その惣一が、民俗調査に出かけた先で崖からの転落死を遂げてしまう。
彼の話に興味を覚えていた四十澤は侶磊村に向かい、鞘落家を訪れる。
そこで彼が体験したのは村の異様な風習、そして怪異の数々だった・・・


作者の作風はホラーとミステリの融合が特徴だが
その比率は作品ごとに異なる。

「刀城言耶シリーズ」では、さまざまな超常的な怪異が頻発するが
最終的にはミステリの枠内で、99%は合理的に説明・解決される。
残り1%ほどは、割り切れないものが残るが
それも ”余韻” として楽しめる。
いわば「ホラー風味のミステリ」だ。

しかし本書は違う。超常的な怪異が頻発するのは同じだが
登場する様々な ”謎” のうち、かなりの部分は合理的な解釈が示される。
しかし、メインである ”超常の存在” は最後まで否定されない。
それゆえ、最後まで恐怖は持続することになる。
「ミステリ要素もあるホラー」という感じか。
本書はこちらの系統に属する作品だ。


私が好きなのはやっぱり前者で、本書のように
最終的に ”怪談” で終わるのは苦手です。

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コメント 4

mojo

31さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2019-08-01 22:37) 

mojo

xml_xslさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2019-08-01 22:37) 

mojo

@ミックさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2019-08-01 22:38) 

mojo

鉄腕原子さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2019-08-01 22:38) 

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