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チャーチル閣下の秘書 [読書・冒険/サスペンス]


チャーチル閣下の秘書 (創元推理文庫)

チャーチル閣下の秘書 (創元推理文庫)

  • 作者: スーザン・イーリア・マクニール
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2013/06/29
  • メディア: 文庫
評価:★★★

主人公はマーガレット(マギー)・ホープ。
アメリカ育ちの英国人女性だ。

1916年、エドマンド&クララ・ホープ夫妻の間に生まれたが
その直後に両親を事故で失い、アメリカで大学教授を務める
叔母・イーディスの元で養育される。

長じては数学を専攻し、ウェズリー大学を
優秀な成績で卒業した才媛へと成長したマギーは
ロンドンにある祖母の家を売却するため、イギリスへと帰ってくる。
しかしなかなか買い手がつかず、生活費を稼ぐために
マギーは広大な祖母の家を利用してシェアハウスを始める。

そうこうしているうちに第二次世界大戦が勃発、
1940年のロンドンにはドイツ軍の空襲が始まる。

そんなとき、マギーの元へ首相官邸での秘書としての仕事が舞い込む。
とはいっても主な業務はタイピスト。
数学の能力を活かせないことに難色を示しながらも
彼女はチャーチル首相の下で働き始める。

ロンドンではアイルランドの反英武装組織によるテロが勃発し
ドイツから潜入しているスパイも活動を活発化させていた。
対イギリスという一点で手を組んだ彼らは
チャーチル首相の側近にまで浸透しようとしていた。

マギーは図らずも、彼らの仕掛けた謀略の渦中に
飛び込んでいってしまったのだ・・・


本書の魅力はなんと言ってもヒロインのマギーのキャラだろう。
数学を学んだだけあって頭の回転は速いし
自分の能力にも自信があるから、官邸(というか世間一般)に蔓延る
女性を蔑視する男どもにも怯むことなく立ち向かっていく。

時代設定こそ1940年代だが、
マギーは極めて現代的な価値観の女性として描かれている。
(だからこそ21世紀の小説として受け入れられてるんだろう)

肉体労働よりは頭脳労働派のはずなんだけど、
その割にけっこう簡単に敵の罠にハマってしまうのはご愛敬か。

マギーがシェアしている5人のハウスメイトの女性たちも、
官邸で彼女の上司や同僚となる男女も、
それぞれ見事にキャラが立っているし
マギー自身が若い女性なので、ロマンス要素も描かれていく。

そして中盤では、彼女の父・エドマンドについて
意外な事実が明らかになる。


本書のラストで、マギーは英国諜報部MI-5の新人スパイとして採用され
第2巻『エリザベス王女の家庭教師』へと続いていく。

実はこの記事を書いている時点で『-家庭教師』まで
読み終わってるのだが、こちらのラスト近くでは
さらに大きなサプライズが彼女を待ち受けている。

シリーズ開始当初からこの設定を考えていたのなら、
作者はたいしたものだと思う。
いずれにしろ、この数奇な星の下に生まれたヒロインの前途には、
波瀾万丈の冒険が延々と続きそうだ。

このシリーズは現在第7巻まで翻訳されており、
原書でもまだ続刊が出ているという人気ぶり。

もう何冊か、この威勢のいいお嬢さんに
つきあってみようかと思っている。

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コメント 5

mojo

はじドラさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2018-10-21 21:20) 

mojo

xml_xslさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2018-10-21 21:20) 

mojo

鉄腕原子さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2018-10-21 21:20) 

mojo

@ミックさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2018-10-21 21:20) 

mojo

31さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2018-10-21 21:21) 

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