SSブログ

虹果て村の秘密 [読書・ミステリ]


虹果て村の秘密 (講談社文庫)

虹果て村の秘密 (講談社文庫)

  • 作者: 有栖川 有栖
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2013/08/09
  • メディア: 文庫
評価:★★★

上月秀介(こうづき・しゅうすけ)は12歳。父親は刑事。
同級生の二宮優希(ゆうき)の母はミステリ作家。
秀介の将来の夢はミステリ作家になること。優希の夢は刑事になること。

二人は、優希の母・ミサトの持つ別荘がある西畑村、
通称 "虹果て村" で夏休みを過ごすことになる。
しかし一緒に行くはずだったミサトは仕事の都合で遅れたため、
二人だけで先に村に到着、ミサトの従姉妹で
役場で働く藤沢明日香の世話になることに。

折しも虹果て村には、高速道路の建設計画が持ち上がっていて
村民は賛成派・反対派に二分された状態だった。

そんなとき、建設反対派の郷土史研究家が密室状態の中で殺される。
さらに、上陸してきた台風のために村に通じる唯一の道路が
土砂崩れで普通となり、秀介も優希も村人たちも犯人と一緒に
閉じ込められてしまう。

刑事志望とミステリ作家志望の二人は
知恵を振るって犯人の正体に迫ろうとするが・・・


講談社の「ミステリーランド」という
ジュブナイル・ミステリのブランドから刊行された作品。
殺人は起こるけれども、生々しい描写は控えめで、
それでも密室ありダイイングメッセージありと

いかにも小中学生向けのミステリー入門書、という作品。
登場人物も、いかにも凶悪な人は出てこないのだけど、
裏がありそうな人ばかり。
理解のありそうな大人のように見えて、実は・・・とか、
いかにも怪しげな風体なんだけど実は・・・て人もいるし。
まあミステリだから当たり前だけど。

とはいってもこの作者のことだから、手がかりをもとに推理を進めて
犯人を導き出す、きっちりしたミステリになってる。
登場する密室トリックも、
古参のミステリファンからすればチャチなものかも知れないが、
子供視点で考えれば充分にわくわくできるんじゃないかな。
それに、密室にしなければならなかった理由も納得できるものだ。

さて、読んでいて実は一番気になったのは、犯人でもトリックでもなく、
秀介と優希の関係だったりする(笑)。
保護者もなしに二人で旅行してるし(後から合流する予定だけどね)
普通の友人でもないが恋人同士でもないし(小学校6年だしね)
でもまあ、そこはジュブナイルですから、
そのへんはスルーしておくのがお約束(笑)なんだろう。

そして一番驚いたのは、犯人の正体でもなく虹果て村の秘密でもなく
巻末に収録された「ミステリーランド版あとがき」だった(おいおい)。
ここに書かれた作者の奥さんに関するエピソードでびっくり。
いやはや、有栖さんはなんて幸せな人なんでしょう。
ミステリ作家冥利に尽きますねぇ。

これを読んでしまうと
秀介と優希が俄然、有栖川氏と奥さんに重なって見えてくる。
もっとも、作中で切れ味鋭い推理を披露するのは優希の方で
秀介はもっぱらワトソンの役回りだけど(笑)。
あ、でもそういえば有栖川有栖はどちらのシリーズでも
ワトソン役だったよねえ・・・

これはぜひ、続編を書いて欲しいなあ。
中学生編とか大学生編とかでもいいので書き継いでもらって
成長した二人に再会したいものだ。

nice!(4)  コメント(4) 
共通テーマ:

nice! 4

コメント 4

mojo

鉄腕原子さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2018-03-25 21:23) 

mojo

@ミックさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2018-03-25 21:23) 

mojo

コースケさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2018-03-25 21:23) 

mojo

31さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2018-04-07 21:31) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント