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ゴースト≠ノイズ(リダクション) [読書・ミステリ]


ゴースト≠ノイズ(リダクション) (創元推理文庫)

ゴースト≠ノイズ(リダクション) (創元推理文庫)

  • 作者: 十市 社
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2016/05/29
  • メディア: 文庫
評価:★★★☆

巻末の解説によると、本書は最初、某社の新人賞に応募したが落選、
作者は電子書籍による自費出版KDP(Kindle Direct Pulishing)をした。
そしてそれを読んだミステリ好きの間で評判になり、
東京創元社から紙の書籍化のオファーがされたという。
確かに、出版されるに値するレベルの作品だと思う。


主人公かつ語り手となるのは一居士架(いちこじ・かける)。
高校に入学して直後、些細な失敗がきっかけとなって
クラスの中で孤立、やがてクラスメイトたちは彼のことを "いない者"、
つまり "幽霊" として扱うようになる。
要するに完全な無視、である。

そして7ヶ月が過ぎ、10月に行われた席替えで架の前の席になったのが
本書のヒロイン・玖波高町(くば・たかまち)。
彼女によって架の生活は激変する。

放課後に教室の中で二人きりになったとき、
彼女は突然、架に話しかけてきたのだ。
「そういえば、まだお礼をしてもらっていないような気がする」

やがて二人は誰もいない図書室で言葉を交わすようになるが
高町は次第に学校を欠席することが多くなり、
時折思い悩むような表情を見せるようになる。
そんなとき、高町を巡ってある噂が広まっていく・・・


本書の謎は、まずはヒロインの抱えた "事情" にある。
中盤では、彼女の複雑な境遇が明らかになり、
様々な行動に説明がつくのだが、架はそのなかに、
さらに "秘密" があるのではないか、と疑いを抱いていく。


ここから先はネタバレではないけれど、微妙な部分になるので、
これから本書を読もうという人は、以下の部分は読まないことを推奨する。


この物語はさらに意外な展開を見せる。
それは、読者もまた架に対してある "疑惑" を抱くようになるのだ。
いや、疑惑というよりは、読者が理解していた(と思っていた)
物語の前提そのものが間違っていたのではないか、
と思うようになるのだ。

 うーん、これではなんのことか分からないね(笑)。

高町の抱えた秘密、架に対して抱く疑惑。
読者にその二つの謎を抱えさせたまま、
物語はギリギリの緊張感に満ちたクライマックスへ突入していく。


ミステリではあるけれど、青春小説でもあり、
愛すること愛されることを含めた "人の想い" というものに対して
うまく振る舞うことができない、
不器用な少年と少女のラブストーリーでもあるかな。

一つ間違うと、とてつもない悲劇に終わりそうな予感の物語に
作者は意外な結末を用意している。

その中身まで書くのは許されないだろうけど、
「青春小説は苦手」って、このブログのあちこちで公言している私が
この作品につけた星の数で察してください(笑)。

nice!(4)  コメント(4) 
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コメント 4

mojo

鉄腕原子さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。
by mojo (2017-12-28 22:23) 

mojo

@ミックさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。
by mojo (2017-12-28 22:23) 

mojo

31さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。
by mojo (2017-12-28 22:23) 

mojo

サイトーさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。
by mojo (2017-12-28 22:23) 

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