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玉妖綺譚 / 玉妖綺譚2 異界の庭 [読書・ファンタジー]


玉妖綺譚 (創元推理文庫)

玉妖綺譚 (創元推理文庫)

  • 作者: 真園 めぐみ
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2016/05/21
  • メディア: 文庫
玉妖綺譚2 (異界の庭) (創元推理文庫)

玉妖綺譚2 (異界の庭) (創元推理文庫)

  • 作者: 真園 めぐみ
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2017/02/11
  • メディア: 文庫
評価:★★★

第1回創元ファンタジイ新人賞で優秀賞を受賞した作品とその続編。

舞台となるのは、パラレルワールドの日本と思しき世界。
我々の世界と異なっているのは"皇国大和"と称する国名だけでなく、
人の目に見えない "妖(あやかし)" が跋扈していること。

ちなみに皇国の首都は櫂都といい、
西にあった前首都から遷都されて24年めという設定。
技術レベルは、街中を馬車が走っていることから
明治時代くらいかなあと思われる。

この世界では異界と現実世界との間に
"竜卵石" と呼ばれる石が産出される。
この石は、持ち主の"気"を受けて、その中に"精霊"を宿す。
これがタイトルにある「玉妖」である。

石ごとに色やかたちが異なるように、玉妖も様々な性格の者がいる。
しかし総じて、類い希な容姿をもつ。要するに美男美女ばかりなんだね。

その玉妖と主従の契約を交わせば、
彼らを "使役" することもできるのだが
彼ら自身にも意思があり、時として主の命令に従わないこともある。
また、人間の気によって "育つ" ものでもあるため、
その性格や外見にも持ち主の影響を受けることになる。

また、竜卵石にも "格" というものが存在するようで
最高の竜卵石群は、コレクターである
難波俊之・さゆき夫妻が所持していた7個。
しかしさゆきが亡くなり、俊之が謎の失踪を遂げて
「難波コレクション」は散逸してしまう。

本書のヒロイン・高崎綾音とその姉・百合乃の姉妹は
俊之が失踪する直前に7個のうちの2個、
"くろがね" と "ほむら" を贈られていた。

しかし百合乃は玉妖であるほむらに恋してしまい(美男だからね)
現実世界に背を向けて玉妖の "郷" に閉じこもってしまう。

姉を救うために、綾音はくろがねと主従の契約を交わし
「驅妖師(くようし)」の修行を始める。
驅妖師とは、玉妖を含めて妖がらみのトラブル全般を解決する仕事だ。

長編ではあるが、実質的には
綾音とくろがねが出会う事件を描いた連作短編集だ。

俊之の甥で探偵事務所を経営する難波彬良は
コレクションの再収集を目指しており、
その共同経営者かつ驅妖師の伊上亮輔は、
やがて綾音と深く関わるようになる。

第1巻は、登場人物の紹介を兼ねながら、
"玉妖" に魅入られた人々の哀感を綴り、
綾音が百合乃を救出するまでが描かれる。

続巻では、前巻の終わりで "眠り" についてしまった
くろがねを目覚めさせるため、
綾音がその方法を探していく途中で
敵役となる驅妖師・佳奈屋、"妖" 一切に理解がない警官・皆川、
その同僚で謎めいた行動をとる女性・野田麻緒などが登場し、
俊之の失踪の理由、異界と現実世界の関係にも
何やら秘密がありそうなことが示唆され
物語はさらに続いていくことになる。


とまあ、いろいろ書いてきたんだが
今ひとつ私の好みではないかなあ。

何処がどう悪いということはないんだが
例えば美男の玉妖に恋してしまう人間の娘とか
亡くなった恋人を玉妖の姿で "再現" させようとする男とか
(玉妖は持ち主の "気" で育つから、そういうことも可能になる)
玉妖を巡る人間の姿が醜いとまではいかないけれど、
読んでいて辛いのは確か。

もちろん作者はそういう存在は否定しているし、
玉妖を "悪用" しようとする動きは
ヒロインたちによって阻止されていく。

でもねぇ、なんだろう。
つまらないわけではないんだけど心が躍らないというか。
私が求めるファンタジーの楽しさとは
ちょっと異なるテイストなんだろうなあ。

まあ、好みの問題だと思います。

nice!(4)  コメント(4) 
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コメント 4

mojo

鉄腕原子さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。
by mojo (2017-12-26 01:17) 

mojo

@ミックさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。
by mojo (2017-12-26 01:17) 

mojo

サイトーさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。
by mojo (2017-12-28 22:22) 

mojo

31さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。
by mojo (2017-12-28 22:22) 

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