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砂漠を走る船の道 [読書・ミステリ]

砂漠を走る船の道 (ミステリーズ! 新人賞受賞作品集) (創元推理文庫)

砂漠を走る船の道 (ミステリーズ! 新人賞受賞作品集) (創元推理文庫)

  • 作者: 高井 忍
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2016/11/19
  • メディア: 文庫
評価:★★★

東京創元社発行のミステリー雑誌「ミステリーズ!」主催の
短編ミステリー大賞の新人賞を受賞した作品を集めた
アンソロジー、その第1弾。
実は5作中4作は、短編集や他のアンソロジーで既読。
言い換えれば、それだけ才能豊かな新人さんだったってことだね。
ちなみに第1回は "受賞作なし" だったそうな。

「漂流巌流島」高井忍(第2回受賞作)
人使いの荒い監督・三津木に引き回されて
時代劇映画の筋立てを考える羽目になった
シナリオライターの "僕"。
二人して居酒屋で "巌流島の決闘" の資料をこね回しているうちに
武蔵と小次郎の意外な姿が見えてくる・・・
吉川英治による決闘の様子は
フィクションの要素が多分に多いと知ってはいても
それを上回る結論を導き出すのはさすが。

「殺三狼」高梨惟喬(第3回受賞作)
口に入れる物は常に毒味を怠らなかった商人・李小遊が毒殺される。
唯一毒味をしなかったのは薬のみだったので、
薬屋・蒲半仙が捕らえられてしまう。その一人娘・蒲公英は
半仙の店に出入りする謎の老人・雲游の助けを借りて
父の容疑を晴らそうとするが・・・
シリーズものになっているけど、続巻は出ないのかな。

「田舎の刑事の趣味とお仕事」滝田務雄(第3回受賞作)
これだけ未読でした。「殺三狼」とダブル受賞。
農業の盛んな田舎に勤務する黒川巡査部長と、
その部下の白石刑事のコンビが活躍する。
畑から大量のわさびが盗まれ、その犯人を追う。
相棒の白石が典型的なおバカなキャラで
探偵役の黒川は白石をこき下ろしてばかりなんだが
彼もネットゲームにはまっていて、とても人のことは言えない(笑)。
刑事二人の探偵ものは多いと思うが
その二人がネットゲームの中で偶然チームを組むことになり
(黒川は気づいているが白石は知らない)
ネットの中で会話しながら捜査が進むという
ユーモアたっぷりなミステリ。

「夜の床屋」沢村浩輔(第4回受賞作)
慣れない山道に迷い、たまたま出くわした無人駅で
一夜を過ごす羽目になった大学生の佐倉と高瀬。
しかしその深夜、駅前にある理髪店に明かりが灯り、
営業を始めていることに二人は気づく。
好奇心に駆られて店に入る二人だが・・・
この発端から導かれる結末も意外の一言。

「砂漠を走る船の道」梓崎優(第5回受賞作)
サハラ砂漠を行くキャラバン隊に、
取材で加わった雑誌記者・斉木。
しかしその帰路で、連続殺人が起こる。
ごく少数のグループ内で、
犯人が特定される危険が大きいにもかかわらず
あえて殺人を行った理由が秀逸。
さらにもう一つ、読者を驚かせる仕掛けを用意していて
まさに傑作。

nice!(3)  コメント(3) 
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コメント 3

mojo

@ミックさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。
by mojo (2017-10-29 01:25) 

mojo

鉄腕原子さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。
by mojo (2017-10-29 01:25) 

mojo

31さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。
by mojo (2017-10-29 01:26) 

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