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ダブル・ジョーカー [読書・冒険/サスペンス]

ダブル・ジョーカー (角川文庫)

ダブル・ジョーカー (角川文庫)

  • 作者: 柳 広司
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2012/06/22
  • メディア: 文庫



評価:★★★

昭和12年。帝国陸軍中佐・結城の発案で、
極秘裏に設立されたスパイ養成所・"D機関"。

かつて自身も優秀なスパイだった結城の指揮の下、
頭脳明晰な学生が集められ、様々な訓練が行われる。

スパイに必要と思われるあらゆる技術を叩き込まれた
"D機関" の "卒業生" たちと、その総帥にして
"魔王" の異名を持つ結城中佐の活躍を描く作品集、第2弾。


「ダブル・ジョーカー」
 陸軍中佐・風戸は、列強との諜報戦に対抗すべく
 参謀本部宛にスパイ養成の必要性を具申する。
 秘密裏に "D機関" を設立済みの陸軍だったが、風戸の提案を受け入れ、
 風戸に新たなスパイ養成所 "風機関" の設立を命じる。
 その目的は、軍部の思想と相容れない "D機関" を追い落とすこと。
 そして参謀本部は、両機関に同一の使命を与えた。
 元外交官・白幡を監視し、スパイの証拠をつかむこと。
 結城とスパイ戦を競うことになった風戸だが・・・

「蠅の王」
 中国大陸での最前線部隊の軍医・脇坂はソ連のスパイを務めていた。
 彼の元へ、スパイの元締め "K" から連絡が入る。
 「陸軍に設立された秘密諜報組織が、
  "魔王" の指揮の下、スパイ狩りを行っている」
 折しも、部隊を慰問団が訪れていた。
 団員に潜む "諜報員" を見つけ出そうとする脇坂だったが・・・

「仏印作戦」
 仏印(現在のベトナム)への出張を命じられた通信技師・高林。
 しかし赴任した彼が直面したのは陸軍と海軍の確執だった。
 日本へ送る暗号電文に携わりながら、ハノイの生活を満喫するが、
 1ヶ月後の夜、謎の暴漢に襲われて失神してしまう。
 彼を救ったのは、"陸軍少尉" と名乗る永瀬という青年だった・・・

「柩」
 ベルリン郊外で起こった列車事故で、日本人・真木が死亡した。
 情報部のヴォルフ大佐は、真木の所持品から
 彼が日本のスパイだったと睨む。
 かつて "魔術師" の異名を持つ伝説のスパイだった日本人が、
 母国でスパイ養成機関を設立したという情報を得たヴォルフ大佐は、
 "魔術師" が部下の死に伴う任務の失敗と混乱を収拾するために
 ドイツに現れると確信し、罠を張るが・・・
 若き日の結城中佐の活躍も明らかになる一編。

「ブラックバード」
 ロスアンゼルスの富豪の娘・メアリーは、バードウォッチングを通じて
 知り合った日本人大学生・仲根と恋に落ち、結婚した。
 子供も生まれ、結婚生活は順調だったが、ある日仲根がスパイだとの
 通報がもたらされ、彼は警察に逮捕されてしまう・・・

「眠る男」(ボーナストラック)
 前作「ジョーカー・ゲーム」に収録されているある短編の
 舞台裏が描かれている。文庫で18ページの掌編。


前作と比べると謎解き要素は減って、ミステリと言うよりは
スパイ・サスペンスの雰囲気を前面に出してきたように思う。
かといってつまらないわけではなく、
「太平洋戦争直前の時代を舞台にした日本人主役の諜報戦」
という珍しい題材を存分に楽しめる。

 他の作品で思いつくのは、佐々木譲のいくつかの長編くらいかなぁ。
 「エトロフ発緊急電」とか「ストックホルムの密使」とか。
 あと何作かあったように思うけど、如何せん記憶が・・・

いつかこのシリーズで、長編が読めたらいいなあ・・・
期待してます。


実は第3作「パラダイス・ロスト」も読み終わってるので、
そのうち載せます。


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mojo

31さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。
by mojo (2016-02-19 19:37) 

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