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SFマガジン700【国内編】 創刊700号記念アンソロジー [読書・SF]

SFマガジン700【国内篇】 (創刊700号記念アンソロジー)

SFマガジン700【国内篇】 (創刊700号記念アンソロジー)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2014/05/23
  • メディア: 文庫



評価:★★★

「緑の果て」手塚治虫
 最終戦争によって滅亡した地球を脱出した4人の男たち。
 彼らが辿り着いたのは緑の草原に被われた星だった・・・
 手塚治虫のSFと言えばやっぱり「火の鳥」だよなあ。
 「未来編」もスゴいと思ったけど、何と言っても「復活編」。
 これは今でも、日本SFマンガで五本の指に入ると思ってる。

「虎は暗闇より」平井和正
 人の心の奥底に潜む願望を解き放つ力を得た男の話。
 8年前に死んだ弟が平井和正の大ファンで、刊行作品は
 「幻魔大戦」シリーズも含めて、ほぼ全巻揃えていたよなあ・・・

「インサイド・SFワールド この愛すべきSF作家たち(下)」伊藤典夫
 小説ではなくエッセイ。海外のSF作家のことを綴ったもの。
 ブライアン・オールディスとかジュディス・メリルとか、
 日本に来た作家たちを接待した時のことも書いてる。
 彼らが語るSF作家仲間の話も面白い。出てくる名前もまたすごい。
 J・G・バラード、フィリップ・ホセ・ファーマー、
 ロバート・シェクリィ、ジョン・ブラナー・・・
 ああ、何もかもみな懐かしい。

「セクサロイド in THE DINOSAUR ZONE」松本零士
 72年の発表なので、TVアニメ「宇宙戦艦ヤマト」放映の2年前。
 SFマンガ家としての松本零士は、この70年代前半の頃が
 いちばん良かったのかも知れない。年齢も三十代だったしね。
 「ヤマト」再放送で人気が出て、一気にメジャーになるのが77年。
 でもそれ以降は多数の連載を抱えて量産を強いられ、
 質の低下が否めなくなっていったからねえ・・・

「上下左右」筒井康孝
 見開き2ページを縦4マス✕横5マスに区切り、
 それを4階建ての団地に見立てて各部屋ごとに物語が進行する。
 筒井康隆が昔盛んに書いてた実験小説群の一つ。
 「デマ」とか「ビタミン」とか「ホルモン」とかもこの系列。
 なんで覚えてるかと言えば、上記の三作を収録した短編集を
 買った記憶があるから。実家を漁ればたぶんあるはず。

「カラッポがいっぱいの世界」鈴木いずみ
 よく分からない(笑)。この手の作品は苦手。
 短編集がハヤカワ文庫JAから1冊出てたよなあ。
 買った気もするんだけど読んだ記憶がない・・・

「夜の記憶」貴志祐介
 遙かな未来。異星人に敗れて
 他の惑星で使役されるようになった人類の話。
 貴志祐介渾身のSF短編だったけど、原稿料のあまりの安さに
 がっかりしてホラー作家へ転向してしまったんだそうな。

「幽かな効能、機能・効果・検出」神林長平
 この人が出てきたあたりから、日本のSFは
 私に理解できないものへと変化していったように思う。

「時間旅行はあなたの健康を損なうおそれがあります」吾妻ひでお
 この人ホント大好き。

「素数の呼び声」野尻抱介
 ライトなファースト・コンタクトもの。こういう雰囲気は好きだ。
 「クレギオン・シリーズ」って再開しないんですかね?

「海原の用心棒」秋山瑞人
 文庫で約140ページと、本書の1/4以上を占める。
 アンソロジーでこの長さはないんじゃないかと思ったけど、
 読んでみて納得。本書の中で最高の作品だった。
 乗組員がすべて死に絶えてしまっても、搭載されたAIによって
 戦闘を続行する攻撃型潜水艦と、鯨たちの群れとの物語。
 若いオス鯨の一人(?)称によって綴られる、愛と戦いの冒険譚。
 「潜水艦ものにハズレ無し」はSFにも当てはまるんだねえ。

「さいたまチェーンソー少女」桜坂洋
 大好きな同級生の男の子を、横からかっさらっていった転校生。
 そんな彼女を抹殺するべく、ヒロインは
 チェーンソーを担いで学校へ乱入する。
 タイトルと展開はホラーっぽいんだけどSFしてる。
 何と続編(!)も何作か書かれているらしい。
 一冊にまとまったら読んでみたいなぁ。

「Four Seasons 3.25」円城塔
 タイムトラベルもの一つ書くにも、この作者は
 これくらいいろいろ捻くり回してくるんですねえ・・・


「えり好みしないで幅広く読まなくちゃいけないなあ・・・」
って考えも頭の片隅にあるんだけど、
このトシになったら、もう
「好きなものだけ読んでいけばいいんじゃないか・・・」
なぁんて思う私もいる。
残り時間にも限りがありますからねえ・・・(笑)。


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